概要
Overview低タンパク血症とは、血液中のタンパク質が何らかの原因で正常よりも減少している状態をいいます。血液中のタンパク質の主成分はアルブミンとグロブリンに分かれ、その中でもアルブミンが大きな割合を占めます。多くの低タンパク血症はアルブミンが低下することによっておこるため、低アルブミン血症とも呼ばれます。
原因
次のような原因が挙げられます。
1.栄養不良や長期にわたる低タンパク食の給与により、タンパク質をつくる原料が不足している
2.タンパク質の合成に関与する肝臓に重度の疾患がある(肝炎や肝硬変など)
3.腎疾患により多くのタンパク質が尿へ排泄される(ネフローゼ症候群など)
4.タンパク質が消化管から漏れ出てしまう疾病がある(胃腸管出血、蛋白漏出性腸症や腸の腫瘍など)
症状
「痩せてくる」、「元気がなくなる」といった症状の他にも、原因によっては「下痢」、「からだのむくみ(浮腫)」、「腹水の貯留によりお腹が膨らむ」、「呼吸が苦しそう」などのさまざまな症状を引き起こします。
治療
原因となる疾患によって治療方法は異なります。良質なタンパク質を豊富に含むフードを与え、輸血(血漿輸血)やアミノ酸製剤の投与などを行い、低タンパク状態の改善を図ります。また、浮腫、腹水の改善には利尿剤を使用します。免疫力の低下が予想される場合は抗生剤を投与します。また、蛋白漏出性腸症などの免疫介在性の疾患がある場合には、ステロイド剤や免疫抑制剤を投与することがあります。
予防
原因がはっきりしないのにどうぶつが痩せてきた、元気がないといった場合には、早めに動物病院を受診することが重要です。
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みなさんからのコメント
Commentアルブミンの血中濃度はワンちゃんの状態によって日々変動しますので、正常範囲に戻ったあとも定期的に検査を行うことが推奨されます。また、バベシアと椎間板ヘルニアといった疾患が元々ある場合、貧血によるふらつきや元気消失、再発による神経麻痺からの歩行異常が起こることがあります。そのため以前とワンちゃんの状態が異なるようでしたら、早期の通院をお勧めいたします。
ご相談の内容から、蛋白漏出性腸症、蛋白喪失性腎症等の腎疾患、肝疾患などが考えられますが、各種検査結果や全身状態を含めて鑑別していくことが必要です。
なお、腎疾患においては、リンや蛋白を控えた食事が推奨されますが、低蛋白血症の程度によっては、良質なタンパク質を食事に取り入れる場合もあります。ワンちゃんの病状や食事内容については、今後の経過を含めて、主治医にもご相談ください。
低蛋白となっている原因や症状等により、対応方法が異なります。原因によっては食餌療法を並行して行うこともあります。状況によって最適な治療法が異なりますので、薬の他の治療法については、かかりつけの先生にご相談いただくことをおすすめします。