アニコム×東京海上、ペットとの避難訓練を実施

2022.12.08

「ペットと一緒に被災した時、避難所がペットを受け入れてくれなかったらどうしよう?」「避難所まで、ペットと一緒にどう移動すればいいんだろう?」皆さんは、こんなことを考えたことはありませんか?

そうした事態に備えるサービスの検証として、2022年10月に、ペット同伴の避難訓練を行いました。避難訓練は、東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上)とアニコムが共同で企画。千葉県と神奈川県の2ヶ所で開催しました。

モニターである飼い主様とワンちゃんは、単に移動し避難所に宿泊するだけでなく、実際にペットと被災した時に備えるためのレクチャーなどにも参加しました。本記事では、千葉県での避難訓練の様子をご紹介します。

アニコムと東京海上の、ペット防災に向けた取り組み

▲千葉県で行われた避難訓練の様子

近年、日本各地で大規模な自然災害が発生し、被災地域の住民の方々が避難せざるを得ない状況が頻発しています。一方で、ペットを受け入れる体制を整備できている避難所は限定的で、ペット同伴での避難には多くの課題があります。

アニコムはそうした課題を解決するため、東京海上と、それぞれが持つ知見やノウハウを活用し、新たなペット防災サービスの開発を進めるための協業を2022年9月に開始しました。

具体的には、ペットの飼い主様向けに、避難支援や防災教育、ペット同行、同伴可能な避難所の検索・案内といったサービスを展開していく予定です。

今回の避難訓練では、そうした飼い主様向けサービス開発の一環として、ペットタクシーとペットホテルを自動手配するサービスの検証を行いました。

“台風直撃“を想定

▲ペットタクシーに乗り込むモニターの飼い主様とその愛犬

避難訓練では、非常に強い台風が首都圏を直撃し、避難警戒レベル3(高齢者などは避難が必要)が発令された場合を想定。関東近郊に住んでいる飼い主様たちは、「ペットとともに避難所に来たが、その避難所ではペットの受け入れができない状況だった」というシチュエーションからスタートしました。

飼い主様6人とワンちゃん4頭が、まずはペットタクシーを利用し、千葉県内のペット受け入れ可能な施設へと向かいました。

千葉県船橋市から12歳のパグと一緒に参加した飼い主様は、「これまで防災のことを考えていなかった。今回の企画がペットとの防災について考えるきっかけになれば」と参加の理由について話していました。

ペット防災に関するクイズや緊急対応のレクチャーも

▲犬が食べていいもの/いけないものクイズ

避難所を想定した施設では、被災してペットフード等が手に入らない場合に備えた、犬が食べてもいい/いけないものを当てるクイズや、「日本ペットBLS防災学会」による、犬の心肺蘇生法のレクチャーを実施。飼い主様は愛犬と一緒に、被災時や緊急時に取るべき行動を学びました。

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▲犬の心肺蘇生法のレクチャーを受ける飼い主様たち ※レクチャーではぬいぐるみを使用しています

また、アニコムが保有する東日本大震災の教訓から生まれたどうぶつ用診療車「アニコムレスキューカー」の紹介も行われました。

▲「アニコムレスキューカー」見学の様子

1歳半のマルチーズとヨークシャー・テリアのMIXを連れて参加した飼い主様は、「企画を通じて色々な知識を学ぶことができた」と、一日を通じ様々な企画を楽しみながら、被災時に必要な知識を学べたことを喜んでいました。

その後、参加者たちは宿泊場所へと移動。ペットと同じ部屋で一晩を過ごした後、翌日再びペットタクシーを利用して自宅へ戻りました。

実際の訓練でわかった『それぞれに必要な備え』

1泊2日の避難訓練を終えて、飼い主様にお話を伺いました。

千葉県での避難訓練に参加した飼い主様は、「ペットとの防災について、正直ほとんど考えていなかった。初めてペットと宿泊し、いつもと違うケージだと全然寝られないということも新たに知った」と振り返られていました。

また、避難にあたり『持ってきた方が良かったと感じたもの』をお聞きしたところ、「普段使っているごはん用のお皿」だったとのこと。「宿泊した部屋にも常備されていたが、普段使っているお皿でないと上手く食べられないことがわかった。今後は備蓄セットに入れておく」とお話されていました。

また、神奈川県での避難訓練に参加した飼い主様は、「ドアの開け閉め音・話し声・他の部屋の鳴き声などに、敏感に反応していた。落ち着けるようトレーニングが必要だと改めて思った」と課題を口にされていました。
被災時、普段とは大きく異なる環境でペットと過ごすには、愛犬の性格や普段の暮らし方に応じた『それぞれの備え』が必要だということを、私たちも改めて認識することができました。

■飼い主様が避難を想定して用意したペット関連用品
ペットフード、水、おやつ、リード、トイレシーツ、うんち袋、マナーパンツ、足や身体の汚れを拭くグッズ(ウェットティッシュなど)、防寒のための洋服、おもちゃ、ブランケット など

■飼い主様が『持ってきた方がよかった』と感じたもの(一例)
普段使っているお皿(いつもと違うお皿だと食べてくれないため)、清掃用品(除菌関連グッズ)、コロコロ(粘着カーペットクリーナー) など

「いざ」という時に備えて

▲愛するわが子のため、いざという時の備えを

普段の生活で、避難所のペット受け入れについて考える機会はあまり多くありませんよね。ですが、「いざ」という時に初めて動こうとしても、困難な場合もあります。あるいは無事に避難できても、「あれが足りなかった」「こういうケースは想定していなかった」といったこともあるかもしれません。普段からの備えを欠かさず、被災時に素早く動けるようにしておくことが大切です。

アニコムは今後も東京海上と協力し、災害時におけるペットの避難や同伴・同行避難など、ペットを取り巻く課題解決に貢献し、ペットの飼い主様に「安心」を届けられるよう、尽力してまいります。

公開日:2022.11.18