ペットによる火災事故 ~起こさないために知っておきたいこと~

2023.05.24

皆さんはペットが起因する火災事故というものがあるのを、ご存じですか?

あなたと大切な家族がまさかの事態に巻き込まれないよう、事故を起こさせない環境作りをご紹介します。

ペットが原因の事故
全体の7割で火災が発生

※写真はイメージです

 

製品事故情報の収集・分析などを行う独立行政法人「製品評価技術基盤機構(以下NITE)」が2017年8月に発表した資料によると、平成24年度から平成28年度の4年にわたりNITEが収集した製品事故情報のうち、ペットや小動物、害虫が原因の事故(※)は計78件。

 

件数だけ見ればそんなに多くないかもしれませんが、そのうち7割を超える56件が火災を誘発しています。ペットに起因するトラブルは、一歩間違えば重大事故につながる危険性をはらんでいることがわかります。

※ペットおよび小動物や害虫の関与が確認されたものだけでなく、状況証拠から関与が疑われるものも含む

 

【関連リンク】

NITE報道発表資料「身近な動物が思わぬ火災事故を引き起こします ~ペットだけでなく、ネズミやゴキブリなどにも気を付けて~」

猫に起因する
事故発生件数は
犬の約2倍

※写真はイメージです

 

事故の具体例として、NITEは以下のようなケースを紹介しています。

● 室内飼育されている猫が飼い主の不在時にガスコンロのスイッチを入れ、コンロが点火し火災が発生した

● 室内で飼っていた猫がファクシミリに尿をかけたため、漏電・火災が発生した

● ネズミが冷蔵庫の電源コードをかじり、断線・ショートしたため、火災が発生した

● 飼い主が充電後放置していたルーター用のリチウムイオンバッテリーに飼い犬が噛みつき発火し、製品および周囲を焼損した

 

先の78件のうち、ペット(※)が原因の事故に限定した場合、件数は26件。動物別に内訳を見ると犬が9件なのに対し、猫は16件と倍近い数字にのぼっていました(ちなみに、残り1件は鳥が原因)。

先の注意書きにあるように、この件数には状況証拠から動物が原因と推測されるケースも含むため、猫は他の動物より事故を起こしやすいと安易に断定することはできないでしょう。

しかし、猫は高いところにものぼれてしまうことや、犬のようにしつけをすることがなかなか難しいといった、身体能力や習性の違いが、この件数の違いの一因になっている可能性はあるかもしれません。

※ここでいうペットは、飼われている犬、猫、うさぎ、カメ、鳥、魚などのこと

まさか●●が原因で…
実際にあったヒヤリ体験

かくいう筆者にも、NITEが公表した事象のようなヒヤリとする体験が、過去にありました。

 

たとえば、デジカメの充電池交換時に、うっかり床に落としたリチウム電池を、当時飼っていたフレンチ・ブルドッグが口にくわえ、犬歯で穴を開けてしまったことがありました。

破損した電池からはもくもくと煙があがり、本体がかなり熱くなっていました。すぐにネットで対処法を調べたところ、さらにひどい場合は発火の危険性があったことを知り、口の中で火を噴かなくて本当によかった…とゾッとしたことを覚えています。

また、現在飼っている2頭の猫も若いころは、キッチンカウンターにのぼって、よく筆者に怒られていました(わが家のキッチンには扉がなく、猫たちを締め出せないのです)。

ときには思いもよらないものが猫を呼び寄せてしまうことがあり、なかでも一番ヒヤッとしたのが、ズボラな筆者があとで洗おうとコンロのうえに置いておいた調理後のフライパン。

どうやら、わずかに残った油がお目当てだったようですが、猫がそばにいるときに何かの拍子でコンロの火がついてしまったら…と考えると、血の気が引きます。

危険な場所・ものには近寄らせない。大切な命を守るためにできること

ペットや自分自身、家族の身を守るには、やはり事故を起こさせない環境作りが一番でしょう。NITEは以下のような対応策をあげていました。

● ガスコンロの元栓を閉めたり、ロックをかける

● 電気製品のプラグは抜く

● バッテリーやスマホなど、外力がかかることで破裂・発火する危険のあるものは放置しない

● 目を離す際はペットをケージに入れる

 

わが家ではペットがコードを噛んで感電・漏電しないよう保護カバーをつけたり、タップやコンセントまわり、電子機器の排気口付近にたまりがちなペットの抜け毛をこまめに掃除するなど、実施しやすい対策はなるべく行うよう気をつけています。

事故は“ついうっかり”のスキをついて、思いもよらないかたちで起こるもの。大切なわが子を守るためにも、できる対策はきちんと取り入れ、気をつけてあげたいものですね(自戒の念を込めつつ)。

公開日:2021.7.14