犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の原因や症状、治療法を解説!

概要

Overview

「クッシング症候群」と呼ばれることもあります。副腎は、左右の腎臓の近くにある、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌する内分泌器官です。このコルチゾールは、糖代謝や脂質代謝、タンパク質代謝、体の免疫系やストレスに対する作用などさまざまな働きを担っています。副腎皮質機能亢進症は、この副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることにより、さまざまな症状が引き起こされた状態をいいます。中高齢の犬ではしばしば見られる病気です。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の診療フローチャート

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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原因

副腎皮質機能亢進症の発症の原因には、次の 3 つがあるといわれています。

1.下垂体依存性副腎皮質機能亢進症
 脳の下垂体と呼ばれる内分泌器官に腫瘍化などの異常が生じ、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌され、その結果、副腎皮質ホルモンが多量に分泌されることで発症します。
 犬ではこの原因での発症が多いとされています。

2.副腎腫瘍
 副腎の腫瘍化などにより副腎皮質ホルモンが多量に分泌されることで発症します。

3.医原性副腎皮質機能亢進症
 治療のためにステロイド薬(副腎皮質ホルモン剤)を長期間、多量に投与した場合などに発症します。

症状

副腎皮質ホルモンは、体に対して多くの影響を与えるホルモンとなるため、副腎皮質機能亢進症ではさまざまな症状がみられます。
・ 多飲多尿(飲水量が増え、尿量が増す状態)
・ 食欲が異常に増加し、肥満になる
・ 腹部膨満(お腹が膨らむ)
・ 皮膚の非薄化(皮膚の厚さが薄くなる)
・ 痒みを伴わない左右対称性の脱毛
・ 皮膚の色素沈着(皮膚は色素が沈着して黒く変化します)
・ 筋力の低下(動きが鈍くなる)
・ 嗜眠(しみん:睡眠を続け、強い刺激を与えなければ目覚めて反応しない状態)
また、これらの症状のほかに合併症として糖尿病や尿路感染症などがみられることがあります。

治療

犬の症状や状態、飼い主の希望などによっても治療法は異なりますが、一般的には、内科的治療と外科的治療があります。

●内科的治療
原因が医原性にステロイドの投薬で引き起こされている場合には、ステロイド剤の投与を徐々に中止します。その他の原因による場合には、薬の投与を行ないますが、基本的には、生涯を通しての投与となります。薬には、副腎皮質ホルモンを分泌する副腎皮質の細胞を壊す薬や副腎皮質ホルモンの分泌自体をコントロールする薬などがあります。投薬にあたっては、まずホルモンの分泌が過剰となっている原因を確定します。次に、薬の必要量を確認するために、投薬前後の血液検査(血中の副腎皮質ホルモン濃度の測定)を行ないます。投与量が多い場合には副腎皮質機能低下症を引き起こす可能性があるため、注意が必要となります。また、薬の投与量や回数などについては犬の症状や副腎皮質ホルモン濃度により異なるため、定期的な検査を含め、動物病院にご相談ください。内科的治療で症状が緩和されるケースもありますが、症状が重度な場合や内科的治療を行って症状の改善がみられない場合などは、外科的治療を行うことがあります。

●外科的治療
副腎腫瘍が原因の場合は、切除可能ならば外科手術が第一選択となり、副腎を取り出す手術を行います。また、脳の下垂体腫瘍が原因の場合、手術により切除する方法がありますが、非常に困難で危険性が高い手術といわれています。外科手術については犬の症状や状態などによって、適応時期や手術方法が異なります。また、外科的治療を行う場合は、麻酔のリスクや手術後の安静期間、ケア方法、費用につきましても、かかりつけの動物病院とよくご相談ください。

予防

早期発見、早期治療が大切です。動物病院でのこまめな検診をお勧めします。ご自宅では、犬の行動や飲水量、尿量、皮膚の状態や脱毛の有無などのチェックを行ないましょう。また、上記に記載の症状が見られる場合は、早めに動物病院へご通院ください。

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みなさんからのコメント

Comment
アニコム獣医師
2021-06-29 17:00:21
>どんぐり様
現在、クッシング症候群のワンちゃんの治療で、トリロスタン製剤を第一選択薬として使用することは多いのですが、投薬量などの調整を行っても十分なコントロールが難しい場合は、他のタイプのお薬を使用する場合もございます。また、記事にも記載の通り、病態や症状によって治療内容の適応が異なってまいりますので、今後の治療については、主治医の先生ともよくご相談なさることをお勧めいたします。
どんぐり
2021-06-24 23:49:23
昨年8月にクッシング症候群となり、体重5.5kgのチワックスでアドレスタン5mgを1日1回服用しています。

5月の血液検査で白血球が減少し、アドレスタンを1日半に1回にしましたが数値に変化はなく、1日1回に戻すとまた減少してしまい、少ない量で副作用が出るならアドレスタンを使えなくなると言われました。こういう場合、今後の治療どうなるのでしょうか?よろしくお願い致します。
アニコム獣医師
2021-05-19 15:36:27
>azumama様
副腎皮質ホルモンの濃度が一定の基準を下回ったり、電解質等、ホルモン濃度以外の検査項目に異常値が見られた場合は一旦休薬したり、投薬量を減らすことがございます。
休薬・減量は獣医師の判断となるため、担当の先生にご相談されることをおすすめします。
アニコム獣医師
2021-05-19 15:26:02
>プーさま
多飲多尿の原因となりうる疾患は、副腎皮質機能亢進症のほか、糖尿病や腎疾患など多岐にわたります。必要に応じた血液検査や尿検査、画像検査などを実施し、腹部膨満の症状も合わせて、総合的に診断を行っていくことが必要でしょう。また、可能な範囲で一日あたりの飲水量を測定し、受診の際にお伝えいただくこともお勧めいたします。
azumama
2021-05-16 22:16:46
ペキニーズです。現在クッシング治療のためアドレスタンを投薬しています。
2か月投薬後、血中の副腎皮質ホルモン濃度の測定したら、
基準値より低くなりました。このまま投薬を続けてよのでしょうか。
副腎皮質機能低下症にならないか心配です。

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