4月に入ると動物病院さんは大忙し!暖かくなると「ノミやダニの活動が活発になるのでその予防を・・・」という来院もあるのでしょうが、もう一つ大きな理由があります。
日本では「狂犬病予防法」により「生後91日以上の犬を所有する者は毎年1回、4月1日から6月30日までに狂犬病予防注射を受け、注射済票の交付を受けなければならない」、また違反については、「20万円以下の罰金又は科料が課せられる」と定められているのです。
(ただし、3月2日以降に接種済みの場合はこの期間に再び接種しなくてもよく、また、「病気やアレルギーが出るからワクチンを受けられない!」という場合などには接種の免除を申請することができます。)
狂犬病ってどんな病気?
狂犬病ウィルスが原因となり、人と(ほとんどすべての)哺乳類に感染する伝染病です。人が狂犬病ウィルスに感染・発症した場合の死亡率はほぼ100%といわれ、「人類にとってもっとも恐るべき感染症の一つ」とされています。 また、狂犬病を媒介するどうぶつは、イヌだけではなく、ネコ、コウモリ、キツネ、アライグマなどほとんどの哺乳類です。
日本における狂犬病の人の最終発生は昭和32年でしたが、2020年フィリピンから来日したがい外国籍の男性が日本へ入国後に発症、死亡したのは記憶に新しいですね。2010年2月には、「ニューヨークのマンハッタン地区に狂犬病に感染したアライグマが入りこんでおり、人が噛まれる被害が発生した」というュースが報道されました。
世界中で狂犬病が撲滅されたという清浄国は、日本、オーストラリア、アイスランド、ニュージーランド、ハワイ、グアム、フィジー諸島のみ(平成25年7月厚生労働省調べ)であり、現在でも年間、全世界で約 50,000人ほどの人が亡くなっているのといわれています。
台湾やイギリスなども長らく清浄国でしたが、2012年から2013年にかけて野生動物で狂犬病の発生が認められました。この発生を受け、農林水産省はこれらの国を非清浄国として扱うこととなりました。
厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/
日本獣医師会ホームページ
http://nichiju.lin.gr.jp/kousyu/index.html
1.狂犬病発生のない通常時の措置について
(1)飼い犬の登録に関して(「狂犬病予防法」第四条)
犬の所有者は、犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合は、生後90日を経過した日)から30日以内にその犬の所在地を管轄する市町村に登録の申請をし、鑑札の交付を受けなければならないと定められています。また、犬の死亡、所在地、所有者の住所・氏名の変更があった場合は届出が必要です。
(2)狂犬病予防ワクチン接種に関して(「狂犬病予防法」第五条、「同法施行規則」第12条)
犬の所有者には、生後91日以降の犬への狂犬病予防注射接種が義務付けられています。接種後、獣医師から「注射済証」が交付されますので、飼い主はこれを市町村長に提示し「注射済票」の交付を受けなければなりません。また、犬の所有者はその注射済票を飼い犬に付けておくことが義務づけられています。
(3)未登録犬等の捕獲抑留に関して(「狂犬病予防法」第六条)
都道府県知事により任命された狂犬病予防員(獣医師)は、登録をされていない犬、予防注射を受けていない犬等を捕獲し、抑留することを任務とします。
(4)輸出入検疫 (「狂犬病予防法」第7条)
検疫を受けた犬等(犬、ネコ、キツネ、アライグマ、スカンク等)でなければ輸出入することはできません。検疫事務は農林水産省が行います。
※なお、それぞれの規定に違反した場合についての罰則が定められています。
2.狂犬病発生時の措置について(「狂犬病予防法」第8条〜19条)
狂犬病にかかった犬等又はその疑いのある犬等を診断した獣医師又は犬の所有者には、保健所長への届出義務、その犬等の隔離義務等が課せられ、また、国、地方公共団体は必要な指示を出さなくてはいけません。
狂犬病ワクチンを接種した後の注意点は?
犬の体質によっては狂犬病予防注射接種後、アレルギー反応(顔面の腫れ、じん麻疹など)や、アナフィラキシー反応(虚脱、呼吸困難など)を起こすことがあります。この反応は接種後30分位までに起ることが確率的に高いといわれているので、接種後は出来れば病院内や病院の近く、またはお家へ帰宅なさって犬の様子を注意深く観察すると安心です。
また、病院さんによっても多少見解は異なりますが、何らかの反応が出た場合、原因の特定をしやすくするためにも、フィラリアの薬やノミの薬などの他の予防措置とは数日間隔を空ける場合が多いようです。注射当日から1週間前後は安静を保つよう心がけていただき、激しい運動・入浴・交配などは避けること、そして接種後、元気や食欲がなくなるなど、普段と違った様子がみられたらすぐにかかりつけの病院に連絡しましょう。
また、持病がありお薬を投与している犬は、接種について先生とよく相談しましょう!
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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元気はあります。
ワクチン接種後は体調を崩しやすいため2~3日はシャンプーを控えた方が望ましいとされています。もし発熱して元気や食欲が低下したり、接種部位が腫れて痛みが出たり、嘔吐や下痢がみられたりする場合は、かかりつけの先生にもご相談ください。
数日経ちましたが今も元気です。
そもそもワクチン接種した日は飲ませてはいけなかったのでしょうか。
わんちゃんが嘔吐をする場合、ワクチン接種やお薬の副作用の他、環境変化のストレスや胃腸炎など、様々な原因が考えられます。抗生剤はきちんと処方通りに飲ませないと十分な効果が見られないこともあり、一般的にはワクチン接種と同じ日に飲ませても問題ないことがほとんどです。嘔吐が続く場合には、原因の精査や治療が必要な場合もありますので、受診されることをお勧めいたします。