概要
Overview保冷剤や自動車の冷却水の不凍液などに含まれるエチレングリコールを摂取することによる中毒です。腎障害や神経症状を引き起こし、命にかかわることも多い非常に怖い中毒です。エチレングリコールは甘い味がするため誤食を起こしやすく、かつては屋外で不凍液を舐めてしまう事故が多くありました。最近では屋内で生活する犬が増えましたが、保冷剤などにも使用されることがあり注意が必要です。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
エチレングリコールを摂取することで神経障害や腎障害を引き起こします。エチレングリコールは自動車のラジエーター不凍液や保冷剤などに含まれていて、舐めると甘い味がするため誤って摂取してしまうことがあります。体内に取り込まれたエチレングリコールはアルコール脱水素酵素の働きで代謝されてグリコール酸やシュウ酸という物質に変化します。このグリコール酸やシュウ酸が神経障害や腎障害を引き起こす物質です。
エチレングリコールの致死量は犬の場合体重1kg当たり4.2〜6.6mLといわれています。
症状
摂取後1-2時間以内にふらつきや運動失調、眠たそうにして動かないなどの神経症状が見られるようになります。その後徐々に元気がなくなっていき、急性腎障害の症状が現れ始めます。腎臓が障害されると初期には多飲多尿(おしっこをたくさんしてお水をたくさん飲む)の症状が見られますが、24~72時間程度のうちに急速に進行して乏尿(おしっこの量が極端に少ない)や無尿(おしっこが全く作られない)になります。
治療
摂取直後で症状が見られない場合には催吐処置を行い、活性炭などの吸着剤を投与して体内に吸収されるエチレングリコールを極力減らします。
エチレングリコールにはホメピゾールと呼ばれる解毒剤があり、状態によっては投与されることがあります。。ホメピゾールはアルコール脱水素酵素の働きを抑えることでエチレングリコールからグリコール酸やシュウ酸などの有毒物質が作り出されるのを抑制します。また、ピリドキシンやチアミンを投与することでグリコール酸やシュウ酸の代謝を促して有毒成分を取り除く治療を行うこともあります。
その他に急性腎不全に対する治療や体液の状態を安定させるために点滴を流すこともあります。
予防
エチレングリコールを摂取させないようにしましょう。
最近では1日のほとんどを室内で過ごす犬が増えたので、エチレングリコールの誤食は少なくなりました。しかし、固まらないタイプの保冷材などにもエチレングリコールやプロピレングリコールが含まれていることがあるので、誤って食べてしまわないように注意が必要です。
万が一食べてしまった場合には早めの処置を行うことで症状を最小限に抑えることができるかもしれません。気が付いた段階ですぐにでも動物病院を受診するようにしましょう。
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