フェレットの健康管理

フェレットはヨーロッパでイタチを家畜化したことが起源で、日本では1993年頃からペットとして認知されはじめました。胴長短足の可愛らしいフォルム、好奇心旺盛で遊ぶことが大好き、人にもよく懐いて愛くるしい表情を見せてくれます。そんなフェレットが健康に暮らすために、「健康管理」についてご案内いたします。

飼育環境について

1.温度・湿度

フェレットの理想環境は、温度が15~24℃、湿度は40~60%程度です。
窓やドアの近くは温度管理が難しいので、ケージを置くのは避けましょう。また、冷たい空気は下の方に、暖かい空気は上の方にたまりやすいため、ケージの近くに温湿度計を設置して管理してください。

暑い季節の過ごし方
フェレットは汗腺が未発達で暑さに弱いため、28℃以上で体調を崩しやすく、32℃以上の温度には耐えられません。熱中症で命を落とすリスクもあるため、暑い季節の温度管理のポイントをお伝えします。

■Point 1

エアコンで快適な室温・湿度を維持するのが理想的ですが、冷風が直接当たらないように、風向きやケージの場所を工夫しましょう。

■Point 2 

人間のように汗をかくことができないので、扇風機で体温を下げることはできませんが、空気を撹拌することには効果的です。扇風機でケガをしないように対策してください。

■Point 3

フェレットに長時間日差しが当たらないように、ケージの設置場所に気をつけ、カーテンなどを活用しましょう。

■Point 4

ひんやりする素材(アルミや陶器など)の寝床を用意することもおすすめです。


寒い季節の過ごし方
フェレットは基本的には寒さに強いですが、暖房のある生活に慣れると体調を崩しやすくなります。免疫力の落ちやすい寒い季節を乗り越えるためのポイントをお伝えします。

■Point 1

自分の体温で温まれるように、寝袋や毛布などの潜り込める寝具を用意しましょう。

■Point 2

ストーブを使用する時は、サークルで囲むなどして火傷防止の対策をします。エアコンやファンヒーターを用いる場合は温風が直接当たらないように注意してください。

■Point 3

こたつを使用する時は、温度に注意し、もぐる事が大好きなフェレットが出入りできるように少し隙間をあけてあげましょう。フェレットを誤って踏まないように気をつけてくださいね。

■Point 4

ペット用ヒーターやホットカーペットに長時間触れていると、低温やけどをする危険性があるため、ケージの半分だけ温める、タイマーを使うなどして、熱くて不快な時には逃げられるようにしてあげましょう。

■Point 5

暖房器具により空気が乾燥して皮膚や呼吸器にトラブルが起こる可能性があります。加湿器などで湿度50%前後を維持してください。

 

2.ケージについて

夜行性で1日20時間近く眠るフェレットがくつろぐことができ、適度に運動ができる、安全で快適な環境を用意しましょう。ケージ選びと用意するもののポイントをご紹介します。

 

■Point 1:高さよりも床面積が広いもの
フェレットは高い所に登ることは得意ですが、降りるのは苦手なため、高さは50㎝くらいで十分です。食事やお水、寝床、トイレなどを置きますので、横幅60㎝、奥行き45㎝以上の床面積の広い、ゆったりとしたケージが推奨されます。

■Point 2:金網の幅は狭いもの
頭が入る程度の隙間があれば脱走する恐れがあります。

■Point 3:床は平坦なタイプ
網やすのこタイプだと指や爪をひっかけてケガをすることがあります。

■Point 4:扉が大きいタイプ
日々のお掃除のしやすさも大切です。フェレットは頭が良いので、飼い主さんの行動を見て扉を開けることを覚えます。ナスカンや鍵などで脱走対策をしましょう。

■Point 5:お皿
食器やお水はトイレから離れた場所に設置します。お皿をひっくり返すこともあるため、ケージに固定できるものや重みのある陶器タイプがおすすめです。お水もケージに取り付けられる給水器が良いでしょう。

■Point 6:ハンモック
フェレットは睡眠や休息を取るための寝具がないと不安を覚えるため、必ず用意してあげましょう。

■Point 7:トイレ
フェレットは後ずさりしてお尻が壁についたところで排便をするため、トイレはケージの隅に設置しましょう。排泄物に砂をかけて隠す習性がないので、砂は浅く敷いておけばOKです。

■Point 8:おもちゃ
トンネルやボール、猫じゃらしなどで探索心や好奇心、狩猟本能を刺激してあげましょう。興味のあるものは口に入れる傾向があるため、誤飲に注意してください。

 

フェレットとの外出について

お散歩時は必ずフェレット専用の、体に合ったハーネスとリードを着けます。事前に、ハーネスが抜けないか、不具合がないか必ずチェックしてください。
暑い季節は熱中症の危険性があるため、気温の高い日中の外出は避けましょう。やむを得ず日中出かける時は、体を冷やせるように凍らせたペットボトルをタオルに包んで持っていくと安心です。車でのお出かけの時は、短時間でも車内に残すことは禁物です。また、アスファルトの上を歩かせる場合は火傷の危険性があるので、飼い主さんが地面を触って安全を確かめてからにしましょう。

 

食事について

肉食動物であるフェレットは、主に良質の動物性タンパク質と脂肪から栄養を得るので、バランスの良いフェレット専用のペレットを与えましょう。

■Point 1

フェレットの消化管は短く、食べたものは3~4時間で排泄されるため、消化の良いペレットを与えてください。

■Point 2

フェレットは胃が小さく、少量ずつ何度も食べる習性があるため、少量ずつ頻回に(1日3~5回に分けて)新鮮なペレットを与えましょう。

■Point 3

フェレット専用ペレットは脂肪分が多いため、開封後は酸化が進みます。密閉して冷暗所で保管し、できるだけ早めに使い切りましょう。

■Point 4

同じペレットを生涯飽きずに食べてくれます。肥満にならないように体型をチェックしながら1日200~300kcal/kgくらいで調整しましょう。

■Point 5

盲腸がないため、繊維質の消化がうまくできません。果物や野菜など繊維質の多いものは消化不良の原因となるので、注意しましょう。

 

健康状態のチェックポイント

病気の早期発見・早期治療のために、日々の様子をよく観察しましょう。気になることがあればいつでも相談できるように、フェレットを診察できる動物病院を何件か探しておくと安心です。

1.元気・食欲

活動量や寝ている時間の変化、食欲、食の好みが変化していないかなどを確認します。フェレットは食べ物を特定の場所に隠す性質があるため、あわせて確認しましょう。

2.飲水量

たくさんお水を飲む場合は、腎臓病、肝臓病、副腎疾患などの可能性もあります。反対にお水をあまり飲まない場合は、歯周病、呼吸器や心臓の病気、衰弱している可能性等があります。

3.体重

週に1回程度は体重をチェックして、急激に増減がないかを確認します。背骨やあばら骨がゴツゴツと触れるようだと痩せすぎ、背骨が触れにくくて腹部が胸部と比べて明らかに太いようなら肥満です。フェレットは冬眠をしないため、冬に向けて脂肪を蓄え少し体重が増えますが、太りすぎには注意しましょう。歯科疾患、腫瘍、結膜炎、感染症、白内障などがあるかもしれません。

4.排泄

(1)便

フェレットの正常な便は歯磨きペーストくらいの硬さで、茶褐色で細長い形をしています。普段より軟らかい、色が異なる、量が少ない、出ていない、血が混じる、粒状の未消化物の便といった異常のほかに、排便時につらそうにしていないか、肛門周囲が汚れていないかも確認しましょう。便に異常が見られた場合、胃腸炎、毛球症、コクシジウムなどの寄生虫感染、腹腔内の腫瘍やリンパ腫などが考えられます。
かじって遊ぶことが大好きなフェレットは異物誤飲をすることがあるので、便に異物が混じっていないかも確認しましょう。

(2)尿

尿の色は半透明~黄色です。尿の色、尿量、排尿の有無、痛がる様子がないか等を確認しましょう。
尿に異常がみられた場合、尿路結石、膀胱炎、黄疸、腎臓病などが考えられます。副腎疾患の影響で前立腺肥大が起こると、尿道が圧迫されて排尿できなくなることがあります。結石が尿道に詰まった場合も排尿困難になるため、尿が出ない時はすぐに受診してください。

5.耳

黒茶褐色の耳垢がたくさんたまり、強い痒みがある場合はミミダニが寄生している可能性があります。人間にはうつりませんが、他のフェレットにはうつるので、早めに受診しましょう。

6.眼

目の開き具合、涙・目やに、瞼の腫れ・赤み・できもの、充血、黒目の白濁などの有無のほか、ものにぶつかっていないかも確認しましょう。眼球や瞼の外傷、白内障のほかに、感染症、腫瘍、歯の疾患などが考えらます。
また、真っ白な被毛のアルビノは、色素の欠乏によって瞳の色が赤色で、視力が弱く、光に敏感ですので、強い光で驚かせないようにしましょう。

7.鼻

くしゃみ、鼻水・鼻血などの有無、呼吸時に異常な音がしていないか、鼻の色が白っぽくなっていないかなどを確認しましょう。
呼吸器の感染症や歯周病の影響、鼻腔内腫瘍や貧血などの可能性があります。

8.口・歯

よだれが出ている時は口腔内の痛みや、低血糖による異常興奮などが考えられます。4歳を過ぎて空腹時に元気がなくなったり、ふらつくことが増えた、よだれを垂らして呼吸が荒くなったり、けいれんのような発作がみられる場合はインスリノーマ(膵島細胞腫)の可能性があります。膵臓に腫瘍ができてインスリンが過剰に分泌されることで低血糖を起こし、昏睡状態になって命に関わる可能性もあるため、早期に受診してください。
唾液の臭いが強い場合は歯周病の可能性があります。口をクチャクチャする、舌なめずりをする、顔を洗うような仕草や床に顎をこすりつけるような行動が見られる場合は、吐き気がある可能性があります。
また、欠けたり変色した歯がないかも確認しましょう。欠けた歯が細菌感染により歯髄炎を起こすと、痛みから硬いペレットが食べられなくなります。フェレットは首をつかむと大きなあくびをするので、抱っこの時に確認しましょう。

9.顔

片方の頬が腫れている場合には、歯根膿瘍(しこんのうよう)などの歯科疾患の可能性があります。
また、眼の周り、唇や鼻の周りなどが全体的に腫れている場合は、何らかのアレルギー反応かもしれません。アレルギーの場合には四肢の肉球も腫れ全身に赤い発疹が出ることや、嘔吐や下痢などの消化器症状を伴うこともあります。

10.皮膚・被毛

フケ、湿疹、ケガやカサブタ、ノミやその糞がないか等を確認しましょう。また、首や鼠径部(足の付け根の内側)などにしこりがある場合は、体表リンパ節が腫れている可能性があります。この場合、炎症や感染症のほか、腫瘍の可能性も考えられます。フェレットの胴体や首、肩には肥満細胞腫という腫瘍ができやすいと言われています。被毛に覆われた皮膚のトラブルは発見が遅れがちなので、ブラッシングをしながら明るい部屋で全身を触って確認しましょう。抜け毛の多い季節に丁寧にブラッシングすることで、毛球症の予防にもなります。
また、被毛にツヤがない時は、体調不良のサインであることが多いです。被毛が黄色っぽく変化したり、脱毛が進む場合は副腎腫瘍の可能性があります。体臭が変化したり、乳首が赤くなったり外陰部の腫大などがみられる場合は要注意です。

11.四肢・爪

歩き方や、肉球・爪に異常がないか確認しましょう。爪が伸びすぎると引っかかって危険なので、定期的にケアしましょう。肉球が硬くなるハードパッドという状態はジステンパーウイルス感染が疑われます。肺炎症状や神経症状もみられる場合はすぐに受診しましょう。

 

病気の予防対策

1.犬ジステンパー

フェレットが犬ジステンパーウイルスに感染すると、鼻や肉球の角質が厚くなる皮膚症状、肺炎などの呼吸器症状、斜頸や運動失調などの神経症状が現れます。残念ながら有効な治療法がなく、致死率はほぼ100%と言われています。ワクチン接種が一番有効な予防方法です。
日本では、現在、フェレット用のワクチンが認可されていないので、犬用のワクチンで代用しているのが現状です。ワクチン接種については、お散歩に行くか、多頭飼育かどうかなど、フェレットの生活環境を考慮しながら、かかりつけの先生とよくご相談ください。
ワクチン接種後は、一般的には接種部位の腫れや痛み、発熱して元気・食欲が低下することがあるため、安静にしましょう。また、顔の腫れ、下痢・嘔吐などのアレルギー反応が起こらないか、半日くらいは注意深く観察します。接種後30分程度はアナフィラキシーショックが起こらないか、病院で様子をみると安心です。

2.フィラリア症(犬糸状虫症)

フィラリア症は心臓に寄生する2~30センチの細長い虫で、蚊が媒介します。フェレットにとっては一匹の感染でも命取りになることがあるため、予防が肝要です。フェレット用の予防薬はないので、犬猫の予防薬を代用しているのが現状です。※予防期間は地域によって異なります。

3.インフルエンザ

フェレットはウイルスの感受性が人と近いため、人のインフルエンザに感染することがあり、特に幼い個体では重症になりやすいとされます。飼い主さんの鼻水や唾液の飛沫を介して感染するので、インフルエンザにかかった時は他の人にお世話をお願いして、なるべくフェレットに近づかないようにしましょう。
飼い主さんご自身の健康管理のためにも、手洗い・うがい・マスクの着用、十分な栄養と睡眠、加湿器などを使って湿度を50~60%に保つなど、インフルエンザ対策を心掛けましょう。

 

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みなさんからのコメント

Comment
ラフガブ
2022-08-10 23:32:47
フェレットを2人育ててますが1人がいきなり太りました。
餌も同じ物をあげてるのですが何かの病気の合図だったりしますか?
てるてる坊主
2022-08-02 08:53:13
2歳のフェレットがいます。
最近、暑いからなのか少し歩いてすぐ伏せみたいにする事が増えました。

これは体調が悪いのでしょうか?
食欲もあります。
アニコム獣医師
2022-08-05 11:28:16
>てるてる坊主様
フェレットさんがあまり歩かない場合、暑さや疲れなど病気以外が原因の可能性もありますが、どこかに痛みや違和感があったり、体調不良が隠れていることもあります。続く場合には一度受診されて、病気によるものでないか確認されることをお勧めいたします。
あい
2022-07-25 11:03:45
緑色のねっとりしたうんちをして、白い液体を嘔吐してしまいました。なにか病気でしょうか?
アニコム獣医師
2022-07-28 09:36:24
>あい様
フェレットさんが緑色のうんちをする場合、下痢である可能性が高いと言われています。フェレットさんが下痢や嘔吐をしている場合は、環境変化などのストレスや、食事の影響、細菌やウイルス感染による胃腸炎など、様々な原因が考えられます。原因により対処も異なりますので、症状が続く場合には受診されることをお勧めいたします。

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