犬も日々の生活で、体が汚れてしまいます。被毛の種類や生活環境・運動量などによって体の汚れ具合は異なりますが、定期的にシャンプーで体を綺麗にしてあげる必要があります。またシャンプーをすることは、汚れを落とす以外に、体臭を抑える効果もあります。
ただ、シャンプーが苦手という子も多いですよね。自宅でのシャンプーの仕方や、注意点をご紹介します。
シャンプーの手順
1. まずはブラッシング
全身をブラッシングし、被毛のもつれをほぐし、汚れを落として毛並みを整えます。犬の皮膚はデリケートなので、ブラシで肌を傷つけないように気をつけましょう。長毛の犬など毛玉ができやすい犬の場合には、ブラシで無理に引っ張らず、指で少しずつほどいてあげてください。ハサミで切ろうとすると、皮膚まで切ってしまうことがあるので注意をしてください。
2. シャンプー本番
シャンプー前のブラッシングが終わったら、いよいよシャンプー本番です。
■体を濡らすときのシャワーのかけ方
まずは体を丁寧に濡らします。被毛だけでなく、皮膚までしっかり濡らしてください。
また、シャワーの音と感覚が苦手な犬もいますので、シャワーヘッドは犬の体に密着させ、水圧が強すぎないよう、お湯の量を調整しましょう。どうしてもシャワーが苦手で興奮してしまう犬の場合は、洗面器などに入れたお湯をゆっくりとかけてあげたり、タオルやスポンジなどを利用して、少しずつ濡らしてあげたりするとよいでしょう。顔が濡れることを嫌がる場合が多いので、まずは、お尻や後肢など、顔から遠いところから順にお湯をかけ、徐々に顔に近づけていくようにしてください。
顔へのシャワーを嫌がる場合には、後頭部からお湯をかけたり、スポンジにお湯を含ませて拭き洗いをしたりしても良いでしょう。スポンジに含ませたお湯を流しかけながら、拭くようにしてあげましょう。
■温度の目安は37~38度
お湯の温度の目安は、 37~38 度くらいが適温で、人の感触では少しぬるいと感じるくらいで良いでしょう。高温になると被毛の間にお湯がたまった時に、やけどをする恐れがあります。また、内股・脇の下・指の間・パッド(肉球)の溝などの皮膚が敏感な部分もしっかりと洗うことで、皮膚病の予防にもなります。
■シャンプーするときのポイント
薄めるタイプのシャンプー剤は、先に桶やたらいを使って規定の量に薄めます。シャンプー液を直接かけるとその冷たさにびっくりしてしまう子もいるので、多少
十分に体が濡れたのを確認して、お尻や後肢から順に手早く洗ってください。爪を立てたり、ゴシゴシ強く洗いすぎると、皮膚を傷めるので気をつけましょう。洗い始めは黒ずんだ泡が立ち、十分に体を洗えると白い泡が立つので、泡の色も気にしましょう。
3. 洗い流すときのポイント
しっかりと全身を洗ったら、シャンプー剤が残らないように充分にすすぎます。すすぎのときは、今までとは逆に、顔から順番に流し、内股・脇の下・指の間・パッドの溝などもくまなくすすぎましょう。シャンプー剤が残っていると、皮膚のトラブルを起こすおそれがありますので、充分に洗い流しましょう。
4. リンスは必要?
シャンプーの後は、リンスをしてあげると、アルカリ性になった皮膚を弱酸性に戻したり、静電気防止にもなります。薄めたリンスを顔にかからないように注意しながら体全体になじませ、マッサージをかねて体全体に行きわたらせましょう。リンスが全体に行きわたったら、シャンプーと同じようにしっかりと洗い流しましょう。
5. 洗い終えたらタオルドライ
シャンプーとリンスが終わったら、全身の水気を取りますが、びしょ濡れの体をタオルで拭く前に、犬にブルブルッと身震いをさせて水分を飛ばすようにすると、その後タオルで拭くことが楽になります。
犬が身震いをしない場合には、犬の耳に息を吹きかけてみましょう。犬は耳に息を吹きかけると、くすぐったくて頭や体を振ります。また、その時に、「ブルブル」や「シェイクシェイク」など声をかけ褒めてあげると、今後、掛け声をかけると身震いをするようになります。その後、タオルでしっかりと拭いてあげてください。
6. ドライヤーでしっかり乾かす
タオルで十分に水分をふき取ったら、次はドライヤーを使ってしっかりと乾かします。
ドライヤーの風は低温にし、自分の手に風を当てても熱くない距離(約 30 cm程)まで離して、後ろから毛をかき分け根元に風をあてましょう。風で毛についている水滴を飛ばすイメージで行います。初めてドライヤーをする時には、音にびっくりしてしまう犬もいるので、最初は弱風で始めるなどの工夫をしましょう。
また、ドライヤーをかけながらブラシで毛を分けたり、タオルで拭きながら風をあてたりすると、さらに乾きが早くなります。
トイ・プードルなど毛が細くて絡まりやすい犬 は、毛を伸ばしながら乾かさないと毛玉になる場合があるので、注意が必要です。
7. シャンプー後はゆっくり休ませて
シャンプーをすることは、犬にとって、人が思うより緊張し体力を消耗するものなのです。体調がよいときでも、シャンプーの後はゆっくりと休ませてあげることが大事です。
ご注意いただきたいこと
■濡れたままにしない!
シャンプーをした後、半乾きや湿ったままの状態で放置すると、蒸れにより皮膚や被毛で細菌が増え、皮膚病などの原因になるので十分に乾かしてあげましょう。
■人用のシャンプー剤はNG
人と犬では皮膚のpH(ピーエイチ)が違うので、人用のシャンプーを使うことで被毛や皮膚に影響を及ぼす場合があります。犬専用のシャンプーを使いましょう。なお、犬用のシャンプー剤には、さまざまな種類のものがあります。犬のお肌のタイプを考慮し、ピッタリのシャンプー剤を見つけてあげましょう。
■毛が絡まないようにするコツ
長毛種の場合には、絡まないようにしましょう。指の腹を使い、毛の流れにそって、優しくマッサージをするように洗ったり、ゴムのブラシなどを使用するのも効果的です。
■目ヤニは取ってあげてから
目ヤニが固まっている場合には、濡れてふやけたところで、皮膚を傷付けないように十分に注意して目の細かいコーム(ノミ取りコームなど)で鼻先の方向へとかして取りましょう。ティッシュなどでは目が粗く、強く擦るとかえって皮膚や目を傷つけてしまう恐れがあるので、ガーゼやコットンなどでふき取るのも効果があります。
■シャンプーが目に入ってしまったら
焦らずにシャワーで優しく洗い流しましょう。必要に応じて、かかりつけ獣医師の診察を受けましょう。
■シャンプーが苦手な子はどうしたらいい?
シャンプーが苦手で、暴れてしまう犬も中にはいるでしょう。その時は、初めから無理をせず、濡らしたタオルで汚れをふき取ることから徐々に慣らしてあげてください。合間にご褒美をあげ、「シャンプー=いいこと」と思わせることができれば、上手にシャンプーができるようになります。
■子犬や妊娠中はシャンプーを控える
生後 3 ヶ月以内の子犬、妊娠中だったり体調を崩したりしている犬などは、シャンプーは控えて、シャンプーをする際にはまず、かかりつけの先生に相談をしましょう。
■シャンプーしすぎはよくない!頻度は月1~2回
シャンプーのしすぎは毛艶を無くしてしまうだけでなく、皮膚の脂分を失わせてしまいます。また皮膚にシャンプーが残ると、炎症を引き起こすことがあるので注意が必要です。頻度の目安は月に1~2回ですが、犬の体調や季節などにより回数を調整するとよいでしょう。
どうしても汚れが気になるときには、マッサージ効果も期待できる蒸しタオルなどで拭きとるようにしてあげてください。
こんなとき、どうしたらいい?
■アレルギーや皮膚の病気がある場合
アレルギーのある子は、シャンプー剤によっては悪化することがあるので、シャンプーを選ぶときはかかりつけの獣医師に相談をしましょう。また、皮膚の状態が良くないといった理由で動物病院からシャンプー剤を処方された場合などは、病院での指示に従いましょう。
■ワクチン前後のシャンプー
犬たちにとってシャンプーは体力を消耗し、緊張からストレスとなってしまうこともあります。体調の良い日にワクチン接種をしていただくためにも直前にシャンプーをするのは避けましょう。シャンプーの予定がある場合は、 1週間ほど前には済ませて体調を整えましょう。ただし、お散歩後に足を洗う程度であればかまいません。
シャンプー後体調がすぐれないようであれば、ワクチン接種は延期していただいたほうが良いでしょう。
■女の子の発情出血時のシャンプーについて
シャンプーをしても大丈夫ではありますが、発情中は免疫が下がる時期でもあります。キレイなぬるま湯で洗って、すすぎ残しのないようにしてあげてください。シャンプーは体力を消耗することでもあるので、疲れないように汚れているところだけ拭いてあげてもいいでしょう。なお発情出血の汚れについては、犬は舐めてしまうことが多いようです。
【関連リンク】
シャンプーで犬の病気が防げる?お家でのシャンプーのコツは?|犬との暮らし大百科
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ワンちゃんの年齢や健康状態、発情期などの時期により、シャンプーを嫌がる場合もあります。健康面に問題なければ、最初は濡らしたタオルで汚れのふき取りから徐々に慣らしてください。合間にご褒美をあげ「シャンプー=いいこと」と分かれば上手にできるようになります。なお、皮膚疾患など何らかの理由がありシャンプー嫌がることもあるので、心配な時はかかりつけの先生にご相談ください。