心筋症(拡張型・肥大型) <猫>

概要

Overview

心臓はその大部分が心筋と呼ばれる筋肉で構成されています。この心筋に異常が生じることで、血液を循環させるポンプとして機能が損なわれてしまうのが心筋症です。血液の循環が悪くなることで全身的に様々な障害が生じたり、突然死を起こすこともある病気です。

原因

ネコちゃんの心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つのお部屋に分かれています。お部屋の周りは心筋に囲まれていて、この心筋が伸び縮みをすることで全身からの血液を取り込み、また送り出すポンプとしての役割を果たします。この心筋が正常に機能できなくなると正常に血液を循環させることができなくなります。

ネコちゃんの心筋症は原因によって大きく3つのタイプに分類されます。

 

①肥大型心筋症
主として左心室を囲む心筋が内側へ向かって厚くなる(肥大する)ことで、心室が狭くなり血液を十分に取り込めなくなり、全身へ血液を送り出すことが難しくなります。メインクーンなど特定の種で発生が多いことなどから、遺伝的素因が関与していると考えられています。また、甲状腺機能亢進症や高血圧が原因となることもあります。現在、ネコちゃんの心筋症では一番多いタイプとされています。

②拘束型心筋症
心筋や心臓内を内張している薄い膜(心内膜)の中に、固く伸縮性に乏しい組織(線維結合組織)が作られていく病気です。すると正常であればゴム風船のように伸び縮みしていた心筋が固くなってしまい、うまく動くことが出来なくなります。はっきりとした原因は分かっていません。

③拡張型心筋症
心筋が薄くなってしまい、収縮する力が弱くなることで血液を送り出せなくなってしまう病気です。伸びきって縮まなくなったゴムのようなイメージです。心筋が薄くなることで心臓のお部屋が広がったように見えることから拡張型と呼ばれます。ネコちゃんの場合アミノ酸の一種であるタウリンの不足が原因の一つとされています。かつてのネコちゃん用のフードにはタウリンが十分に含まれていないものが多かったため、よく見られた病気でした。原因が分かった今では、タウリンが十分に含まれているフードが多くなり、発症するネコちゃんは減りました。

また、肥大型心筋症の一部は進行の過程で心筋が薄くなっていき、拡張型心筋症と似た状態になることがあり、肥大型心筋症の拡張相と呼ばれます。

症状

血液循環の悪化で体に酸素が十分行き届かなくなって疲れやすくなるため、あまり動かなくなり、食欲も低下します。進行すると、心臓が送り出せなくなった血液が肺の血管や、大静脈で渋滞を起こしてしまい、そこから血管の外へ血液中の水分が染み出していきます。こうなると、肺の中にお水が貯まる肺水腫や、胸水、腹水の貯留を引き起こし呼吸困難に陥ります。口を開けて苦しそうに呼吸をしたり(開口呼吸)、咳をする、血混じりの泡を吐くといった症状がみられる場合は肺水腫などの危険な状態の可能性があります。

また、血液が渋滞を起こし流れが止まってしまうことで、心房などで血栓と呼ばれる血の塊が作られやすくなります。この血栓が血管を詰まらせてしまう血栓塞栓症という合併症を起こすことがあります。発生が多いのは大動脈から左右の後ろ足に枝分かれして細くなる血管です。突然の痛みとともに後ろ足が麻痺します。症状は片足だけのこともあれば、両足のこともあります。また、多くはありませんが、腎臓や前足、脳の血管を詰まらせることもあります。血栓塞栓症は命に関わることも多いので、早急な治療が必要となります。

治療

甲状腺機能亢進症などによる二次性の心筋症を除き、根本的に治す治療法は今のところありません。血液循環を改善させるために、お薬を使って心臓の機能をサポート、症状や進行を緩和する治療が中心となります。肺水腫がみられる場合には、利尿剤でたまっているお水を減らしたり、胸水が貯まっている場合には胸に針を刺してお水を抜く治療を行うことがあります。

進行によって呼吸の苦しさが続くようであれば、酸素室に入って少しでも多くの酸素を取り込める環境を作ります。酸素室は動物病院のほか、自宅にレンタルしてくれる会社もあります。

血栓塞栓症が発生した場合は、手術で取り除くか、血栓を溶かすお薬で治療を行います。できる限り早く治療を開始することが大切です。手術が行える病院や、血栓を溶かすお薬がある病院は限られているので、ネコちゃんに心臓の病気がある場合は、事前に対応できる病院を確認しておくとよいでしょう。

予防

食事中にタウリンがきちんと含まれた食事を与え、拡張型心筋症にならないよう注意しましょう。タウリン不足の原因となるためネコちゃんにはドッグフードをメインに与えてはいけません。また、その他の心筋症に関して発症の原因が分かっていないため、予防は難しいのですが、心筋症が疑われる場合や、一度心筋症の症状が出たネコちゃんについては、血栓塞栓症の発症予防のために血栓ができにくくなる薬を継続投与することがあります。
日頃からネコちゃんの様子をよく観察し、重症になる前の早期発見、早期治療を心がけましょう。

病気のデータ

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