
元気がないな、と思ったらお腹が張っている!?そんなときは腸閉塞を引き起こしているかもしれません。できるだけ早い救急処置や外科手術が必要となる怖い病気である『腸閉塞』についてお伝えします。
腸閉塞ってどんな病気?
フェルト状の毛玉を飲み込むことで生じる腸閉塞では、胃や腸に急激に水やガスが溜まってお腹が張ってきます。これはグルーミング不足や汚れが主な原因となりますが、固まるタイプの猫砂やカーペット、ひも状の異物の誤飲によって引き起こされることもあります。
腸閉塞はどんな症状が出る?
症状は急に出るので注意しましょう。わかりやすい症状としては食欲不振、活動性の低下、便の減少や便が出なくなるなどがあり、お腹が張ったり歯ぎしりしたりすることもあります。腹痛によって背中を丸めるような姿勢(背弯姿勢)もみられます。
うさぎの食欲に波がある事自体は問題ないのですが、24~48時間以上食べないのは緊急事態です。犬や猫と比べ、うさぎが食べないということは非常に大きな問題です。時間的猶予も短いことがほとんどなので、毎日のごはんの量はしっかりチェックしましょう。
活動性の低下に関しても、うさぎは気づきにくいかもしれません。他の動物と比べても、うさぎは我慢強い生き物なのです。お部屋に放してもケージから出てこなかったり、一ヶ所でうずくまってじーっとしていたりする状況は、元気がないときです。ギリギリと歯ぎしりをしたり、落ち着かずソワソワしたりしているのもお腹が痛いときの症状になります。嬉しいときや心地いいときも歯ぎしりをしますが、ギリギリと強い歯ぎしりはお腹が痛いときに多い症状なので、覚えておきましょう。
うんちの状態もよくみるようにしましょう。食欲に波がある程度ならうんちはほぼいつもどおりですが、病的に食欲が減ってしまっているときはうんちもとても小さくなり、全くしなくなることもあります。毎日のトイレ掃除の際には、うんちの大きさや量を確認するように意識しましょう。
腸閉塞に関連する病気はある?

直接的な関連ではありませんが、長毛種や肥満のうさぎはグルーミング不足から腸閉塞のリスクが上昇すると考えられています。
長毛の子ではどうしてもグルーミングが行き届かず、毛玉ができやすくなります。換毛期以外でも日常的に意識してブラッシングをしてあげるようにしましょう。肥満のうさぎは、太っているせいでグルーミングできない部位がでてきたり、毛が汚れやすくなったりしてしまいます。特にお尻や陰部まわりがおしっこやうんちで汚れ、毛玉ができやすくなっている子をよく見かけます。
また、グルーミング不足による腸閉塞リスクの上昇は、不正咬合など歯の疾患があるうさぎにも言えることです。歯の痛みが生じるので、健康なうさぎと比べてグルーミングが上手にできず不十分になってしまうため、注意が必要です。
腸閉塞はどんな治療をするの?
身体検査や血液検査、レントゲン検査で腸閉塞が疑われた場合は、すぐに治療が必要となります。積極的な輸液療法や鎮痛剤の投与も重要ですが、全身麻酔下での外科手術が必要となることがほとんどです。
輸液療法には、通院で実施可能な皮下輸液と、入院して実施する静脈輸液があります。皮下輸液は、短時間で栄養補助や抗生物質の投与をある程度行うことができます。どちらが飼い主さんとうさぎにとってベストなのかを相談しながら治療方針を決めていくことになります。
補助的な栄養療法も同様に、自宅で行う場合と院内で行う場合があります。体調不良によって自力で食餌が摂れなくなると、うさぎの消化管運動は一気に低下するため、必要があれば数時間おきに強制給餌をすることもあります。抗生物質の投与も同様です。通院であれば経口投与や皮下投与を、入院している場合は皮下投与や静脈投与を行うことが一般的です。
手術は全身麻酔下で実施します。開腹手術によって閉塞物を取り除くか、直接腸をマッサージして閉塞物を大腸まで誘導する必要があります。うさぎの全身麻酔は犬や猫よりも死亡率が高く、慣れた病院でもリスクの高い処置です。それでも、腸閉塞であれば手術を避けることが難しいため、かかりつけの先生とよく相談するようにしましょう。
腸閉塞の予防法は?

腸閉塞は基本的には予防できる病気です。身の回りにうさぎが食べてしまいそうな危険なものはありませんか?カーペットをむしって食べてしまうこともありますし、紐のようなものをかじっている間に飲み込んでしまっていることもあります。また、うさぎのトイレに猫砂は基本的に使用しないようにしましょう。ペットシーツのビニールや吸水ポリマーにも気を付ける必要があります。
腸閉塞の予防に一番大切なことは、毛玉を飲み込まないようにすることです。毛玉はお尻周りや陰部の周囲にできやすくなります。うんちがついて固くなってしまっている場合は、洗面器にぬるま湯を張ってお尻だけ優しく洗ってあげましょう。シャンプーを使わなくても、ほぐしてあげるだけできれいになります。ハサミは皮膚を傷つける可能性があり危険なので、絶対にやめましょう。長毛種や肥満の子だけでなく、歯の疾患のあるうさぎも十分にグルーミングができないので、代わりにブラッシングをしてあげましょう。

まとめ
今回はうさぎの腸閉塞について解説しました。似たような症状がでる疾患に胃腸うっ滞もあります。あわせて知っておき、日々の生活環境を整えてできる限り予防しつつ、少しでも異変があればすぐに相談できる先生を見つけておくことが大切ですね。