概要
Overview骨肉腫は骨と軟骨に発生する悪性腫瘍です。足の骨に起こりやすく、腫れや痛みが見られます。
骨にできる悪性腫瘍には骨肉腫、軟骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫などがありますが、犬で四肢の骨に起こる悪性腫瘍のうち、85%が骨肉腫です。
骨肉腫は大型犬での発生が多く、若い犬でもみられます。短期間で肺に転移し、死亡率の高い腫瘍として知られています。今回は、犬の骨肉腫について説明します。
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
犬の骨肉腫の原因ははっきりわかっていません。
犬の場合、骨肉腫は75%が四肢の骨に、25%が胴体の骨にみられます。
前肢に発症しやすく、前肢の発生率は後肢の2倍です。前肢では肘から遠い部分(上腕骨の肩に近い方や前腕の手首に近い方)に起こりやすく、後肢では膝に近い部分(大腿骨やすねの骨の膝寄りの部分)で多く発症します。
理由は不明ですが、犬種特性があり、体重40㎏以上の大型犬でとくに発症のリスクが高いといわれています。ロットワイラー、グレート・デン、ラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーなどがかかりやすい犬種です。
品種により発症しやすさが異なることから、遺伝的な要因の関与も考えられます。
発症の平均年齢は7歳といわれていますが、発症しやすさには若いときと老齢のときの2回ピークが見られ、2歳前後の若い犬でも発症することがあります。
症状
特に四肢の長い骨に腫瘍ができやすく、激しい痛みを伴うことが多いため、足の腫れや歩き方に異常(歩き方がおかしい、片足を引きずっている)などの症状がみられます。脊椎(背骨)に病変ができた場合は麻痺が出ることもあります。骨肉腫は進行が速く、早期の段階で転移しやすい腫瘍です。特に肺への転移が多くみられ、その場合呼吸困難などの症状があらわれます。
■こんな症状に注意!
病変部は腫瘍によって骨がもろくなっているので、負荷に弱くなっています。ケガをきっかけとして骨肉腫の症状に気づくこともあります。症状はケガの初期と似ていますが、長引く場合は注意が必要です。
・触ると痛がる
・骨の部分に腫れやしこりがある
・歩き方がおかしい
・麻痺がある(脊椎に発症時)
・咳をする、息が苦しそう(肺転移時)
■検査でわかること
レントゲン検査で痛みやしこりのある部分の骨に異常が見られることが多いです。肺転移時は、胸部レントゲンで肺に白い影が見つかることもあります。
■予後
発生部位や年齢、ステージ(悪性度など)、治療内容などによって個体ごとに異なります。
治療を行わない場合の標準的な余命は約110日です。断脚(足を切断する治療)を行った場合でも、断脚のみでは2か月ほどの延命効果しか得られません。このため、断脚に化学療法(抗がん剤)を併用することがあり、10~18ヶ月ほどに生存期間を延長できます。積極的な治療を行っても、残念ながら最終的には肺に転移して、予後不良となることも多いです。
治療
四肢の骨肉腫の場合、ほとんどのケースで断脚を行います。
骨肉腫は転移しやすいので、手術を行っても根治が難しいケースもあります。生存期間を延長し、痛みを和らげるため、抗がん剤による化学療法、放射線治療や緩和ケアを組み合わせます。
■動物病院での治療法
1.外科手術(断脚)
生存期間の延長と痛みからの解放を目的に、病変のある足を切り離します。肩関節、または股関節などの足のつけ根から切除する方法が一般的です。
超大型品種などの体重の重い犬や、関節疾患のある犬では術後に補助が必要なこともありますが、三本足でも歩行可能な犬は多くいます。
2.抗がん剤治療
体調を確認しながら、中長期的に投薬を行います。断脚後に抗がん剤を使用すると、生存期間の延長効果が期待できます。薬剤には、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシンなどがあり、1種類だけを使用する場合と複数の薬剤を組み合わせる方法があります。
食欲不振や消化器症状、骨髄抑制(白血球数の低下)などの副作用が出た場合は、対症療法もあわせて行います。
3.放射線治療
放射線を照射し、がん細胞を減らします。手術が困難な部位の腫瘍の治療や、疼痛緩和目的で行われます。
4.緩和ケア
骨肉腫は痛みの強い病気なので、鎮痛剤を積極的に使用します。抗炎症剤のほか、麻薬に分類される強めの痛み止め(フェンタニルのテープ剤など)を使用することもあります。使用時は獣医師の指示をよく聞いてください。
5.代替・補助医療
光線温熱療法やサプリメントなどが、生活の質をあげる補助となることがあります。
■家庭内での治療とケア
家庭内で投薬可能な内服薬には、痛み止めや、抗がん剤の副作用を緩和する薬などがあります。
断脚後は運動が難しい場合もありますから、おやつを使ったコミュニケーションなどでストレスを発散させてあげるなどしてあげましょう。
予防
発症の原因がはっきりわからないので、予防することは難しい病気です。しかしながら、早期発見による早期治療によって、痛みを緩和し、生存期間を延長できます。定期的に検診を受け、日ごろから犬の歩くようすを観察しましょう。
しこりや歩き方の異常、さわると痛がる、ケガの痛みが長く続いているなどの症状がある場合には、早めに動物病院にご相談ください
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