概要
Overviewてんかんとは、発作的に繰り返される全身性のけいれんや意識障害を主な症状とする脳疾患です。犬において最も一般的な発作の原因といわれています。
多くの場合は6か月~3歳までの若い時期に発症しますが、6~7歳ころに初めての症状が出ることもあります。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
◇特発性てんかん
原因が特定できないもので、一般にてんかんと呼ばれるのはこの特発性てんかんを指すことが多いです。脳神経細胞の機能異常などが原因と考えられ、遺伝的素因が関与するといわれています。比較的若い時期での発症が多くみられます。
◇症候性(2次性)てんかん
脳腫瘍、脳炎、水頭症、外傷など脳組織に障害を与える明らかな病気が特定される場合は症候性てんかんと呼ばれます。発症時期は原因となる病気により様々です。
◇潜因性てんかん
症候性てんかんが疑われるものの、各種検査上明らかな異常が認められず特発性てんかんに見えるものをこのように呼ぶことがあります。
症状
発作には意識の消失を伴う全身性の発作(全般発作、大発作)と体の一部のみに発作の症状が現れるもの(焦点発作、部分発作、あるいは小発作)があります。焦点発作には意識が消失しないものから意識消失を伴うものまでさまざまな症状がみられます。よく発作の「前兆」と表現される症状がありますが、実はその大半が焦点発作そのものであるとされます。
明確に区別しづらい症状もありますが、実際の症状として次のようなものがあります。
焦点発作
・口をくちゃくちゃさせる
・手足や顔面等の一部の筋肉にけいれんを起こす
・落ち着きがない
・自分の尾を追いかけるように同じところでくるくる回る
・床を舐める
・遠吠えのように鳴く
・よだれが出る
全般発作
・全身性のけいれん
-強直発作:全身の筋肉を突っ張る発作
-間代発作:ガクガクと手足などを震わせるような発作
-強直間代発作:強直と間代が同時に起こる
・突然活動が停止して、放心状態となる(通常数秒から数十秒)
・遊泳運動(犬かきのように手足を動かす)
・全身、あるいは体の一部の筋肉群が電気ショックを受けたように瞬間的に収縮する
・突然全身が脱力して崩れ落ちる
発作中には、尿や便をもらしてしまうこともあります。
発作が起きると一時的に意識がなくなることもありますが、通常は数秒?数分で終わり、その後は何事もなかった様に過ごします。
重度の場合は1日のうちに何度も発作を繰り返したり(群発発作)、発作が数分以上にわたって長く続いてしまう(てんかん重責状態)こともあります。
※ 発作が起こってしまった場合にはどのような症状か、どれくらいの時間発作が続いたかなどの詳細な情報を記録することがその後の治療に役立ちます。また、発作発症時は犬が頭をぶつけたり高いところから落ちたりなど、二次的な事故を起こさないように飼い主は慌てずに注意してあげてください。
治療
特発性てんかんでは「抗てんかん薬による発作のコントロール」が主な治療となりますが、症候性てんかんの場合には、「状況に応じた、発作の原因となっている疾患の治療」が必要な場合もあります。したがって、てんかん様の発作が起こった場合、原因が何であるかをはっきりさせるための精密検査を行っておくことが望ましいといえます。
検査内容は、歩く様子・反射などをみる神経学的検査や血液検査、心臓の機能検査を行い、状況によってはMRI検査や脳波検査が必要となります。
薬物代謝に影響を及ぼす肝臓や腎臓の機能なども、薬物療法開始前に血液検査等で評価しておくことが重要です。
投薬量に関しては、適正な量で効果が出ているのかを確認するため、薬物の血中濃度を測定しながら決める場合もあります。
特発性てんかんの場合、発作を完全になくすことは難しく、治療目標は発作の頻度と強度を下げることです。投薬によって70‐80%程度の犬で発作を軽減することができるといわれています。
群発発作やてんかん重責状態の場合は早急に治療を開始しないと命にかかわることがあります。発作が止まらないときはすぐに動物病院に連れていきましょう。
予防
原因不明のてんかん発作の発症を完全に防ぐことは難しいといわれています。そのため、発作の回数の減少や発作の持続時間の短縮、発作の程度を軽減することを目的として、抗てんかん薬でコントロールしていきます。
投薬を開始している犬は発作が現れなくなっても、飼い主の独断で投薬を中止しないようにしましょう。投薬期間や投薬時間、投薬量などをきちんと守ることが重要となりますので、かかりつけの先生の指示に従いましょう。コントロールができている状態であれば犬の予後は良好となりますが、重積発作が続くような状態の場合は予後が不良となることがあります。
てんかん発作は、ストレスなどの精神的な問題や強い刺激(フラッシュのような強い光、金属音、ビニール袋の音な)、天候の変化など周囲の環境が引き金となって発生することもあります。犬に負担や過度の刺激を与えないように生活することも大切です。
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保護して1年程で てんかんを発症しました
皮膚の薬とてんかんの薬を併用してるのですが 薬を嫌がり気付くとご飯もたべません。頻度は半年 3ヶ月 1ヶ月 最近は1週間です 薬は効いてるのでしょうか
てんかんの薬は投与開始後に、血液内の有効血中濃度に達して初めて効果が表れます。そのため、投与間隔が一定で無かったり、期間が開いたりすると、期待される効果が見られないことがあります。フードに混ぜたお薬を嫌がるようでしたら、薬を美味しい物で包み食事と別にあげていただくか、錠剤が不可なら粉に変えるなどの方法もございます。一度かかりつけの先生にご相談いただくことをお勧めします。
近くの獣医で見てもらいました。血液検査もしてもらい薬をもらって治療してますがおしっこの回数が少ないのと3日うんちが出ていません。お水の場所トイレの場所もわからないみたいです。脳に異変があるのでしょうか?
脳に影響が出ているかどうかはMRI等の詳しい検査をしないと分かりません。おしっこの回数が少なく便が出ていない場合、発作の影響で十分量食べられていない、飲水量が足りない等の原因が考えられます。ワンちゃんが飲みやすい場所にお水を設置してあげる、ふやかしやウェットフード等食べやすい食事をあげる等工夫してあげましょう。それでも改善しない場合は別の原因が考えられるため、受診をお勧めいたします。
ろくに立つことができなくなり
食事もしてくれません。
水分はなんとか補給出来ているのですが、
不安と心配で、、
オシッコもうんちも全然しません。