概要
Overview眼球の前眼房と呼ばれる部分(角膜と水晶体の間)には、「(眼)房水」と呼ばれる血液の代わりに栄養などを届ける液体が循環しています。房水はブドウ膜の毛様体という部分で作られ、隅角と呼ばれる出口から眼球の外に出ていきます。この房水がうまく出ていけなくなると前眼房内に貯まりすぎてしまい、眼球内の圧力(眼圧)が高くなることで様々な障害を引き起こします。これが緑内障で、中年齢から高齢の犬でよくみられます。

※2020年4月23日更新
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
原発性:房水の出口である隅角の形成異常によるものです。出口が狭いことで詰まりが起こりやすく、房水の排出が妨げられます。
続発性:眼球内の炎症や水晶体脱臼、眼球内の腫瘍などが原因で眼房水の流出が妨げられて眼圧が上昇します。
先天性:生まれつきの眼球の異常によるもので稀なものです。
症状
眼圧の上昇に伴って眼球の様々な部分が障害されます。眼球が内部から押し広げられることで眼球の不快感、痛みが生じます。痛みがあるときは瞬きの回数が増える、頭など眼の近くを触られるのを嫌がるなどの症状がみられます。また、眼球の奥にある視神経がダメージを受けると、視覚が障害されます。治療が遅れると失明してしまうこともあります。
見た目の変化としては、血管が浮き出るような白眼の充血、瞳孔が開いている、瞳孔の奥が緑色に見える、赤く見えるなどがあります。
慢性的に高眼圧が続くことで、眼球が膨らんで大きくなってしまう「牛眼」と呼ばれる状態になってしまうことがあります。
治療
お薬を使った治療としては、点眼薬や飲み薬で房水の出口を広げたり、作られる房水の量を減らしたりして眼圧の上昇を抑えます。急激な眼圧の上昇に対しては、点滴治療で急速に眼圧を下げる治療を行います。
お薬での治療で良くならない場合には、レーザー治療で房水が作られる量を減らしたり、眼球内の手術により新たな出口を作ったりして、眼圧の上昇を抑えます。
様々な治療を行っても眼圧の上昇が抑えられない場合、最終的に眼球摘出を行うことがあります。緑内障の手術は手技が難しく、眼科専門の病院など設備の整った施設で行われることが多いです。治療についてはかかりつけの動物病院とよくご相談ください。
予防
根本的な予防策はありません。できるだけ早期に発見して治療を開始することで、失明などの重大な症状を防ぐことが大切です。飼い主さんが気づいて病院に連れて行った段階で、すでに失明してしまっていることも多い病気です。犬の眼の見た目の異常や視覚障害による行動異常などに気付いたら、できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。
また、一度治療を開始しても徐々に進行していくことが多い病気でもあります。できるだけ視覚に異常を出さないように、動物病院の先生の指示を守って治療を続けるようにしましょう。
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現時点では眼圧を下げる目薬が効いていますが、この先の治療としてどのようなものがありますか?
現在8歳ですが、治療のリスクも併せて教えていただけるとありがたいです。
白内障手術後に、続発性緑内障となってしまうケースも実際には多いです。点眼薬にて眼圧降下が維持できていれば、そのまま点眼継続にて経過観察することが多いですが、効かなくなってくる場合には眼圧を下げる外科手術も実施することがあります。点眼薬の継続について大きなリスクはありませんが、外科手術については眼内の炎症を再度引き起こしてしまうリスクがありますのでかかりつけの先生ともご相談ください。
今回、炎症を起こしやすい体質と説明を受けましたので、やはり更に手術を受けるのはリスクが高いのですね。
ひとつの可能性として伺いたいのですが、ステロイドによる副作用で眼圧が上がっているということはないでしょうか。
術後2週間の内7回の検診で眼圧が全て正常値であった事と、ステロップを点眼後しばらくすると痛そうにする事から、可能性があるのではと思ってしまいます。
ステロイド点眼薬が眼圧を上げる要因になることもあります。ステロイド点眼薬は炎症を抑える効果があり、白内障の手術後は眼内の炎症を抑えるためにしばらく使用することが多いですが、副作用として感染を起こしやすくなる、角膜に傷がある場合は悪化させる可能性もあるため、定期的に目の状態を確認しながら使用期間を決めていきます。点眼後に痛みがあるようでしたら早めにかかりつけの先生にご相談ください。