どうぶつの平均寿命は、獣医療の進歩、飼い主さんの知識の向上、食事の質の改善などにより、年々伸び続けていますが、それに伴い、老齢になると発症しやすい病気も増え続けています。
腫瘍もそのひとつで、病院に訪れる老齢のどうぶつが罹る疾病の上位を占めています!
腫瘍とは?
正常な臓器・組織は、必要以上に分化分裂を行わないように遺伝子レベルで調節されていますが、何らかの要因により無秩序に、また過剰に細胞分裂が起こり、異常に細胞が増殖したものを腫瘍といいます。腫瘍は、さまざまな機能障害をもたらすだけでなく、他の 臓器や組織へ転移して、最悪の場合、罹患した個体を死に至らしめます。
腫瘍は大きく分けると、「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」に分けられます。
さらに「悪性腫瘍」は大きく分けると「癌(腫)」と「肉腫」に分けられます。
良性腫瘍 ・・・一般的に増殖速度が遅く、転移しない。
悪性腫瘍 ・・・一般的に増殖速度が速く、放っておくとどんどん増殖し続けて組織を破壊し、他の組織へ転移する。
「癌」と「肉腫」ってどう違うの??
癌(腫)...上皮系にできる悪性腫瘍のことをいう。
※上皮系とは、体表面を覆う表皮や腸などの臓器の粘膜、内・外分泌腺を構成 する腺細胞や肝などの臓器実質の細胞などのことをいう。
肉腫 ...上皮系以外(=非上皮系)にできる悪性腫瘍のことをいう。
※非上皮系とは、筋肉・血管・骨・脂肪などの組織、血液・リンパ系の組織などのことをいう。
良性であっても、発生部位によっては非常に大きくなり周囲の組織を圧迫したり、痛みを伴ったり、機能障害をもたらしたりすることもあります。
また時には悪性に転化することさえあります。
「しこり」などを見つけたら、まずは動物病院の先生に相談しましょう。
原因は?
原因は大きく分けると、「外的要因」と「内的要因」に分けられます。
外的要因 :化学的発癌因子
(さまざまな化学物質・排気ガス・大気汚染物質・食品・食品添加物など)
物理学的発癌因子(放射線・紫外線・慢性的な機械的刺激など)
生物学的発癌因子(腫瘍ウイルスなど)
内的要因 :遺伝的、性、年齢、品種など
腫瘍細胞は毎日私たちの体にもできている!?
正常な免疫は、異常細胞を排除してくれます。
ところが、悪性の腫瘍は、この大事な免疫に対して異常な細胞であるにもかかわらず、"自己"の組織として認識させて、攻撃しないように仕向けてしまいます。
このようにして、悪性の腫瘍は、異常細胞の増殖を手助けしてしまうのです。
診断は?
発生部位にもよりますが、その腫瘍の性格を識別するためには、状況に応じて細胞診(細い針を患部に刺して吸引し、取れた細胞を用いて診断をする針吸引生検等)、また手術等で組織を採取して診断をする病理組織学的検査を行います。腫瘍の性格によっては、腫瘍が全身へ影響を及ぼしていないかをチェックするという意味で、血液生化学検査、X線検査、超音波検査、さらにCTスキャンやMRI(磁気共鳴画像)検査などを行い、症状も含めて総合的に判断します。
治療は?
良性腫瘍であれば、完全な外科的切除で良好な予後、完治も可能です。
一方、悪性腫瘍については、その腫瘍の種類により治療はさまざまです。外科的切除やその他、放射線療法、抗がん剤などの化学療法、免疫療法などの複数の治療を組み合わせて治療を行うこともあります。
年齢や病状、治療経過などを考慮して、その子にあった治療を選択してあげることが大事です。
予防は?
腫瘍は、早期発見を行うことが重要です。
皮膚腫瘍のような体表にできる腫瘍等であれば、シャンプーやブラッシングなどの日々の
ケアやスキンシップを通して飼い主さんが早期発見しやすく、その分病気の進行も少ない状態で対処できます。
内臓などの腫瘍は外見ではわからず、早期発見しづらいですが、わが子の元気、食欲、体重の減少、胃腸症状、呼吸の状態、跛行の有無などの異常に気付いたらすぐ動物病院の先生に相談していただくことが少しでも早く対処することにつながります。
バランスの良いお食事、適度な運動、飼い主さんとの楽しい時間を過ごして免疫をしっかり整えましょう。そして、「わが子のわずかな変化」に気付いたらすぐに先生にご相談してくださいね!
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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去年の9月にるかがアポクリン汗腺がんに罹患しました
その前にアポクリン汗腺がんに罹患したリチャと接したりしておりました。
その後るかが罹患
そして、らびも罹患しました。
最初に接触した子と全く同じ状態です。
掛かり付けの2つの病院の先生からは、可能性はゼロではない、移りますと言われました。もう後悔しかなく、癌は移るのか知りたいです
リチャードソンジリスさんはペットとして飼育されるようになってから比較的歴史の浅いどうぶつさんのため、病気についての研究も他のどうぶつさんに比べると進んでおらず、明らかになっていることも少ないです。ただ、ウイルス感染などが関係しているとされる腫瘍もありますが、一般的には腫瘍は感染するものではないと考えられています。ジリスさんたち、どうぞお大事になさってくださいね。
高齢のヒメウズラさんであっても、麻酔のリスク等のデメリットよりも、手術や検査をするメリットの方が大きいと判断された場合には、麻酔をかけて手術や検査をすることもございます。ただ、麻酔のリスクがどの程度あるかというのは年齢だけではなく、ヒメウズラさんの実際の体調など、他の要因によっても変わるところです。実施するかどうか、かかりつけの先生とも再度よくご相談ください。
中でも高齢のため麻酔のリスクがあり手術を躊躇っています。
6歳だとやはり切除細胞診共にリスク高いでしょうか。
リンパ腫の治療は抗がん剤が主体となることが多く、その効果はリンパ腫の種類、ステージ、全身状態等によって異なります。根本的な治療法ではありませんが、胸水が溜まっている場合はドレーンを設置して胸水を抜去し、酸素室に入れてあげることでマリンちゃんが楽に過ごせるかもしれません。とても心配な状況かと思いますが、主治医の先生と相談しながらマリンちゃんの治療を進めていただければと思います。