自然界にある毒物について (2) 毒をもつ魚介類  <犬>

 

 

どうぶつと暮らすメリットの一つは、散歩などを通して屋外で活動する機会が多くなり、飼い主さんの運動量も増えて健康的に過ごせることですね。

自然の恵みは素晴らしく、目で、鼻で、皮膚を通して自然を感じて、四季折々の楽しみも盛りだくさんです。

一方で、自然界には他の動物から身を守るために毒をもつものが、たくさんあります。植物、キノコ、動物、魚、貝などのうち、何に毒があり、どのような危険があるのかをあらかじめ知ることは、かけがえのない犬や猫たちを守るためにとても大切なことです。

今回は、自然界にある毒物のうち、毒をもつ魚介類についてご案内しましょう。

 

 

毒をもつ魚介類

 

 

 

 

魚介類が有する毒の多くは、自身で作ったのではなく、有毒の微生物やプランクトンを捕食すること、つまり食物連鎖により蓄積された毒性によるものです。

例えば、テトロドトキシンという猛毒をもつことで知られるフグも同様で、捕食した貝やヒトデなどの体内に蓄積したビブリオ属等の細菌によるものだとされています。

したがって、魚介類の毒性に関しては季節や生息域により異なるケースが多い点にも注意が必要です。

 

◇注意を要する毒の例

1.フグ毒(テトロドトキシン)

解毒作用がある肝臓に毒が集まりますので、当然、フグなどの魚類も肝臓に毒がたまります。また卵巣や腸にも厳重な注意が必要です。

海辺を散歩していると、釣り人が捨てていったのか、漁港や防波堤でフグを目にすることがありますが、犬や猫が近づかないように注意をしましょう。

症状は、嘔吐、麻痺(まひ)、痙攣(けいれん)などがみられ、命にかかわることがあります。万が一食べてしまったときは、すぐに動物病院さんに連絡をしましょう。

 

2.シガテラ毒(シガトキシン、パリトキシン、マイトトキシン)

プランクトンの一種であるGambierdiscusの有毒渦鞭毛藻(ゆうどくうずべんもうそう)が付着した海草を食べた魚の体内に毒性が蓄積したことによるものです。

中毒の原因となる魚の種類としてバラハタ、ギンガメアジ、ドクウツボ、バラフエダイなどが挙げられます。

 

3.パリトキシン毒

フグやサソリの毒より強く、天然毒の中では最強だといわれるパリトキシン毒は、Ostreopsisの有毒渦鞭毛藻によるものだとされています。

藻などと共生するスナギンチャクの体内にパリトキシンが蓄積され、このスナギンチャクを食べたアオブダイやブダイ、ソウシハギなどが中毒の原因となります。   

 

4.貝毒

AlexandriumDinophysisなどの有毒渦鞭毛藻を食べた貝類が強い毒性を示すようになります。このようにして毒化した二枚貝を肉食性の巻貝やカニが捕食したことにより、巻貝やカニが毒化する例も知られています。

貝毒は、麻痺性、下痢性、神経性に大きく分けられます。貝の毒素はアサリ、カキ、ホタテなどで発生し、特にアサリ毒は強力です。犬や猫は海辺に落ちている貝に興味を示すかもしれませんが、口にしないように注意をしましょう。

 

5.毒棘(どくきょく)を持つ魚

魚の中にはエイ類、オコゼ、ミノカサゴ、ゴンズイなどのように、有毒のトゲや針(=毒棘)を持つ魚がいます。犬や猫が、釣った魚にイタズラをしないように注意をしましょう。

万が一、このような魚に刺されたときは、トゲや針が残っているようであれば取り除き、傷口を流水で洗い、動物病院さんに連絡をしましょう。

なお、人ではたんぱく質である毒の成分を不活性化するため、ヤケドを起こさない程度のできるだけ熱いお湯(45度くらい)に30分以上を目安に患部を浸しておくと良いとされています。

 

◇そのほか、こんな海の生物に出会ったら・・・

1.ウミウシ

海綿(かいめん)やコケムシといった動物を食べるウミウシには、数千もの種がいます。この中には体内に毒を蓄積している種も多くいます。好奇心から不用意に触ると毒のある刺胞(しほう)で刺されることがありますので注意が必要です。

ウミウシの毒は、ほとんどが食べたものが持つ毒を利用したものです。

例えば海綿を捕食する種では、海綿の持つ物質を体内に貯蔵し毒として分泌しますし、イソギンチャクなどの刺胞動物を捕食するウミウシでは、毒のある刺胞をそのまま体内に蓄えておいて利用します。

 

2.アメフラシ

アメフラシは基本的に毒を持ってはいませんが、食べたワカメなどの海藻に毒性がある 場合には毒を持つことがあります。

なお、乱暴に扱われたときなどにアメフラシが出す紫色の液体には毒性はありませんが、犬や猫の目に入ってしまったり、なめさせたりしないように気をつけましょう。

 

3.イソギンチャク

イソギンチャクは、クラゲやサンゴなどとともに刺胞という毒液を注入する針のような 器官をもつ刺胞動物の仲間ですから、多かれ少なかれイソギンチャクにも何らかの毒性があります。不用意に触れて刺されることのないように注意をしましょう。 

 

4.クラゲ

クラゲは触手(しょくしゅ)についている刺胞を使い、甲殻類や動物プランクトンを食べます。毒性については、クラゲによりさまざまです。万が一さされてしまったときは、傷口に触手がついていたら海水でよく洗い流しましょう。

触手を取り除く際にはビニール袋やゴム手袋を利用していただき、素手で触らないように注意しましょう。

 

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みなさんからのコメント

Comment
アニコム獣医師
2021-07-01 17:41:39
>毒リズム リン様
当サイトはペットの飼い主に気を付けてほしい内容という視点から情報を掲載しておりますので、ご要望にお応えするのは難しい旨ご了承ください。
毒リズム リン
2021-06-25 22:21:05
管理人が見てくれていれば。下ふたつに返答をお願いしたいです。
否定でも構いません。
数日後か数週間後にまたこのサイトに来ます。
毒リズム ヒ素
2021-06-25 22:18:40
毒が、好きすぎてもう、毒学専門学校なんてあればいいのになぁ……なんて思ってす。
まぁ、そういった学校もある気がしますが……なければ自分で毒について調べ尽くし、専門学校を建てたいですね。
毒学についてのサイトを紹介してくれると助かります。
あ。 好きな微生物毒は毒キノコです(?)
毒リズム テトロドトキシン
2021-06-25 22:12:22
毒についての基礎の知識がついた気がします。
もう少し毒について詳しいことがわかれば、自由研究のテーマに取り入れたいので 毒素 神経毒 自然毒 細胞毒などについても詳しく教えてくれるとありがたいです。

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