異物誤飲に注意 (1)  <猫>

 

人がおいしそうに食べているものを犬や猫が「食べたいな〜」と虎視眈々と狙い、ちょうど床に落ちたところをパクリ!と口に入れてしまう・・・。
お家に遊びにいらしたお客様が犬や猫に与えてしまう・・・。
こんなことから誤食が起こり、そしてどうぶつ病院さんへ、あげくの果てには手術や中毒に・・・と、「つい、うっかり」が大事になりかねません。

人が当たり前に食べているものの中には、犬や猫が摂取すると中毒を引き落としてしまうものもあるので、十分な注意が必要です。また、犬や猫はヒトが思ってもみないものを食べてしまうことがあります。

特にクリスマスや忘年会などで賑わうこれからの時期は、飼い主様にとってイベントが目白押し、同時に、犬や猫にとっては、いつもより誘惑が多い時期でもあります。飼い主さんも忙しさから、ついうっかり、という事態を招いてしまいがち、食べ慣れないものでお腹を壊してしまったり、食べてはいけないものを口に入れてしまったり・・・こんなことのないように充分注意してあげましょう。

犬とヒトとの歴史は、ヒトの残飯から犬が食糧を得るというところからスタートしています。「落ちているものを食べる」という行為は、犬の遺伝子の中に組み込まれてしまっているぐらい強いものかもしれませんし、もともと犬は好奇心が強いどうぶつです。「何を口のなかに入れてもおかしくない」というくらいの気持ちで、心して犬の安全を守るようにしましょう!

 

どんなものが、異物誤飲の原因となりやすいの?

 

【ヒトの身近にあるもの】 
竹串やトウモロコシの芯、果物や梅干の種、ヒトの医薬品、石、砂、靴下などの布類、ひも、鉛筆、消しゴムなど

【害虫駆除剤、殺鼠剤、不凍液(エチレングリコール)、防腐剤など】
車のラジエーターの不凍液の成分であるエチレングリコールは、口にしたときに甘い味と匂いがします。犬や猫がこの味と匂いに誘われて口にしてしまい、重大な事態をひきおこすことが、特に冬の時期に見られます。猫や小型の犬では、小さなスプーンを数杯分摂取しただけで、死に至ってしまうほど危険な物質ですので不凍液取り扱いには厳重な注意が必要です!
    
【人間にとってはご馳走だが、どうぶつにとっては危険な状態を引き起こしてしまうもの】   

*たまねぎ・ねぎ・にら・にんにく類
赤血球が壊されるため、貧血を起こすことがあります。
直接食べるだけでなく、煮汁も中毒を起こしますが、たまねぎに対する感受性は、個体差があるようです。

*チョコレート、ココアパウダー等
チョコレートに含まれているテオブロミンは心臓、中枢系神経を刺激し、血圧上昇、不整脈等の症状や、興奮、痙攣、昏睡等の中枢系神経における異常がおこることがあります。チョコレート中毒は、慢性的な摂食時などでは死に至ることもあります。
また、テオブロミンの含有量はチェコレートの種類によってかなり違います。 ビターチョコの含有量が多く、ミルクチョコ、ホワイトチョコの順に少なくなります。症状は犬の体重や体質によっても異なりますが、体重10Kg の犬が100gぐらいのチョコレートを摂取した場合でも症状があらわれる可能性が高いといわれてます。ちなみに一般的な板チョコは1枚で約70gですので、小さい犬の場合は一かけらでも要注意です!

*カフェインが含まれているもの(コーヒー、紅茶、日本茶等)
カフェインはテオブロミンと同様に、心臓、中枢系神経を刺激します。症状としては、頻脈、不整脈、興奮、全身性のうっ血や出血がおきることがあります。

*キシリトール
植物のシラカバやカシなどの天然素材からつくられる甘味料であるキシリトールですが、人と犬ではキシリトールの代謝や感受性が大きく異なります。「キシリトールが犬に重篤な障害を起こす」という報告が、2006年9月にアメリカ獣医学協会から発表されています。
キシリトールを犬が摂取により血糖を下げるホルモンである「インスリン」が急速に分泌されるため、急激な血糖低下がみられ、低血糖症を起こしたり、最近では肝臓に障害を起こしたりする可能性があることが報告されています。摂取した量や犬の感受性によっては死に至ることもあるので、充分な注意が必要です!
ちなみに、ガム1枚のキシリトール含有量は 約0.5g〜1g/1枚(注:製品により異なる)で、1、2枚のガムでも危険な場合があるので注意が必要です! 
        
*レーズン・ブドウ
最近のアメリカの報告で、有害である事が立証されているため、避けたほうがういいでしょう。重度の場合は、腎不全から死亡するケースも報告されています。
猫については、まだよく分かっていないようです。

*生卵の白身 
ビオチンは、ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンですが、生卵の白身にはビオチンの吸収を妨げるアビシンが含まれており、過剰な生卵の摂取はビオチン欠乏を引き起こします。

*アボカド
アボガドに含まれるペルジンの多量摂取により胃腸の炎症の恐れがあるという報告があります。なお、フェレット、ウサギ、鳥などの小動物にとっては少量でも危険です。

*ナッツ(特にマカデミアナッツ)
多量摂取後に、運動失調や後肢の麻痺を起こすことがあります。

*イカやタコ、エビ
生のイカやタコにはチアミナーゼという酵素が含まれており、摂取し過ぎると体内のビタミンB1が破壊され、神経障害を起こし、ふらつきや歩行困難をおこすことがあります。

*牛乳やチーズなどの乳製品
犬、猫は牛乳に含まれるラクトース(乳糖)を分解する酵素が少ないために、量によっては消化不良や下痢を引き起こしてしまうことがあります。

*鶏や魚の骨
先がとがっている骨は口の中や食道や胃腸を傷つける可能性があり危険です。
道に落ちている鳥の骨、飼い主様のパーティー後の食べ残しなどにも注意しましょう。

*生肉
生肉の摂取についてはさまざまな意見がありますが、寄生虫や細菌への感染が懸念されるため、与えないほうがよいでしょう。特に生の豚肉には、トキソプラズマという原虫感染症を引き起こす危険があります。

*ヒト用の味付けをしてあるもの
多すぎる塩分、糖分は内臓に負担がかかります。

*プロピレングリコール(保湿剤)
保湿剤や甘味料として利用されているプロピレングリコールですが、猫が摂取すると赤血球にハインツ小体の増加や赤血球数の変化などがみられます。このため保湿剤として猫用ペットフードへの添加を禁止されています。 ただし、犬には影響は見られませんでした。

【観葉植物、植物の球根など】
12月のクリスマスシーズンに町を彩るポインセチア、シクラメン、クリスマスローズなども中毒を起こす原因となります。
他にも危険な植物がたくさんありますので、注意が必要です。
 「身近にある危険な植物に注意!

※植物の生育に役立つ堆肥も危険ですので、犬や猫が近づけないようにしましょう。

異物誤飲に注意 (2)へ続く

 

 

※コメント欄は、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。


※個別のご相談をいただいても、回答には通常3営業日程度のお時間を頂戴しております。
誤飲したものによっては、誤飲後1~2時間以内の催吐処置が適切な対応である場合や、逆に吐かせるのが危険な場合、あるいは人体薬等の中毒性のある物質の誤飲は早急な治療が必要となる場合などがございます。
そのため、誤飲またはその可能性がある際は、まずは動物病院にご相談ください。
また、上記以外の場合であっても治療が必要となることがあるため、誤飲やその可能性に気付かれた時点で動物病院にご相談ください。

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