私たちが、「そろそろ自分の体をいたわらなくては」と思い始めるのは何歳くらいでしょうか。
人と同じペースで時が流れていけばいいのですが、どうぶつたちは人より速いペースで年を重ねていきます。
さて、犬猫は最初の一年で「ほぼオトナ」になります。大型犬は、オトナになるのが中型犬、小型犬、猫より少し遅いのですが、その後、早いペースで年を重ねていきます。一方、中型犬や小型犬は早くオトナになり、ゆっくりと年を重ねていくといわれています。
もちろん、同じ年齢でも個体差が大きいのですが、7歳を迎える頃になったら、「よりよく年を重ねるための心配り」を始めましょう。わが子にあわせた生活を演出できるよう、定期的な健康チェックで、健康管理もしっかりとしてあげましょう。
どうぶつとして、ごく自然な生理的変化をふまえた上で、いつまでも健やかに過ごすために、どのような心配りをしてあげたらいいのでしょうか。
シニア期の愛犬はどんな刺激が嬉しいの?
神経細胞の老化対策のためにも適度な刺激が大切です。
豊かなコミュニケーションにより飼い主さんの愛情を伝え、生き生きと嬉しそうな表情を引き出してあげましょう。
「やさしく体を触って、たくさん話しかけてほしいな」
・・・体をやさしく触ることは腫瘍などの病気の早期発見につながるだけでなく、マッサージ効果も生まれます。
「日光浴がうれしいな」
・・・心と体の健康のためにも適度に陽射しを浴びさせてあげましょう。
「一人ぼっちは寂しい」
・・・家族のだんらんの中に愛犬を交えて、家族の温もりを感じさせてあげましょう。
「初めての場所で新しい匂いを嗅ぐとワクワクするよ」
・・・新しいお散歩コースにチャレンジしたり、お散歩の途中に楽しいゲームタイムを用意してあげてもいいですね。
「家族と楽しく遊びたいな」
・・・かくれんぼや大好きな匂いを探すゲームなど、好奇心を失わない工夫をしましょう。
「あの子と遊んでみたいな」
・・・他のどうぶつと触れ合って、ワクワクと楽しい時間を過ごさせてあげましょう。中には多頭飼いをはじめたことが刺激になって、若さを取り戻す子もみられます。
※多頭飼いの際には、新しく迎えたどうぶつから逃げることができる場(ケージやクレート、ベッドなど)を必ず用意してあげることが大切です。
シニア期にみられる愛犬の変化
加齢に伴って生じる変化を老化といいます。人と同じように白髪がみられるようになり、皮膚のハリも衰えてきます。若いころの体のキレがなくなり、動きがゆったりとしてきます。
感覚器を司る器官の細胞が老化することで、視覚、聴覚、味覚、触覚などにも変化がみられるようになります。「外界の情報が得られにくいこと」はどうぶつたちの不安につながり、運動をすることを嫌がったり、恐がったり、やたらに甘えたがるなどの行動の変化につながることがあります。
また、加齢とともに筋肉量が減るため、基礎代謝が低下しますが、このことは運動量の低下にもつながります。各臓器を支える平滑筋などの老化や各臓器の機能低下がみられ、排泄の回数が多くなったり、コントロールができなくなったりもします。筋肉量が減ると、何かあったときに逃げられないという不安につながり、このことが攻撃的な行動につながる場合もあります。
これらの生理的変化に伴う行動の変化に、実は疾病が隠れている可能性もあります。言い換えると、疾病を適切に治療することにより、老化によるものと思っていた行動の変化が改善する可能性もあるということです。例えば、食欲がない原因が歯周病による痛みかもしれませんし、元気がないのは甲状腺の機能が低下しているのかもしれません。おかしいな、と思ったら動物病院でチェックをしてもらいましょう。