拾い食い(1) <犬>

 

犬には狩りで捕らえた獲物だけを食べるのではなく、昆虫の死骸、果物など地面に落ちているものを拾い食いする習性があります。このため、お散歩などでも道を歩きながら落ちているものを見つけては口に入れることがあります。
ところが、人間社会で生きる犬にとって、道路に落ちているものが有害であったり、危険を伴ったりすることも少なくありません。拾い食いを止めさせるのにはどうしたら良いのでしょうか。

 

 

基本的な拾い食い防止の方法

 

 

1. 「落ちているものを食べてはいけない」「落ちているものを食べないと良いことがある」と犬にしっかりと教えましょう。
(1)あらかじめ食べ物を用意しておき、目印のところに置いておきます。
(2)お散歩時にそこを通ったとき、犬が食べようとしたら「いけない」と厳しい声で叱ります。食べることを躊躇したら、しっかりとほめてください。食べるのを止めたときにうんとほめることが大事です。ときにはご褒美をあげても良いでしょう。

2. あえて食べられない状況を作るのも良いでしょう。
(1)飼い主さんの右手はリードの端の輪に親指をかけて持ち、左手はリードを上から つかむように握ります。このようにすることで、犬が散歩時などに地面に落ちているものに興味を示した時に、飼い主さんは左手でリードの中ほどの位置をみぞおちあたりの位置にキープすることで、リードの長さを調節することができるでしょう。このようにリードの長さを調節することで、犬の鼻先を地面につかないようにさせ、地面に落ちているものを口に入れることを防ぐことができます。
(2)犬の好きな食べ物をいくつか用意し、前述のようにリードをみぞおちあたりの高い位置にキープした状態にします。あらかじめ食べ物を落としておきます。このとき犬はリードを引き上げた状態なので、犬は地面に落ちている好きな食べ物を食べられず、あきらめて飼い主さんを見上げるでしょう。
(3)犬が地面にある好きな食べ物に届かず、口に入れることをあきらめて飼い主さんを見上げたら、うんとほめてあげ、同時か直後にリードを緩めて飼い主さんの手から犬の好きな食べ物を与えましょう。

 

 

拾い食い防止のためのポイント

 

 

1.飼い主さんによる犬の行動管理
飼い主さんが群れのリーダーであり、犬の行動は飼い主さんに管理されているということを日頃からしっかりと犬に伝えるようにしましょう。

(1)犬は自分が属する集団を一つの群れと考え、群れの中にはリーダーが必要だと考えます。また、犬は群れの中の一番下位に位置していると安全と安心を感じ、飼い主さんの指示を待とうとするようになります。「自分は飼い主さんに守られて生活している」と認識させてあげましょう。このためには、日常生活の中では、「犬の要求を呑まない」、「リーダーらしい毅然とした態度で犬に接する」、「しっかりコミュニケーションをとる」、「褒める時、いけないことを伝える時、メリハリをつけて対応する」 などに留意していくことが必要でしょう。
(2)お散歩の途中やお散歩に出かける前に、飼い主さんが「スワレ」、「マテ」、「ヨシ」などの服従訓練を犬にするとよいでしょう。メリハリを付けて、楽しげな雰囲気を作ってあげることもポイントです。このような時間を作ることで、「飼い主さんは犬に指示をする立場であり、犬は飼い主さんの指示に従う立場なんだよ」と伝えることができます。また、車道を横断するときなどには必ず「スワレ」「マテ」と指示して、許可を与えてから渡るようにしましょう。飼い主さんによる犬の安全を守るんだという強い思いが犬に伝わり、飼い主さんに守られていることを認識します。
(3)お散歩は飼い主さんにコントロールされながらするものだと犬に理解させてあげましょう。お散歩中、度々、犬の名前を呼び、飼い主さんのほうを注目したらほめてあげます。「飼い主さんと一緒にいるんだ」という意識を犬にしっかりと植え付けてあげてください。また、犬に道や電信柱の匂いを自由に嗅がせるのではなく、嗅いでもよいところを飼い主さんが選んであげ、許可を与えるようにするとよいでしょう。
(4)食事は飼い主さんにコントロールされるものだと、犬に理解させましょう。 犬の要求を飼い主さんが呑むのではなく、食事の時間・場所は飼い主さんが決めてしまいましょう。 飼い主さんの許可があって初めて食事ができるんだよ、と教えていきます。また、食事を与える時、飼い主さんは必ず食事を犬の目の前で用意しましょう。

2. 拾い食いをする癖をつけない
拾い食いさせる隙をなるべく犬に与えないようにしましょう。

(1)道路の両端にはどうしても犬が拾い食いしたくなる物が落ちていることも多いようです。お散歩の時はなるべく犬に道路の真ん中を歩かせてあげるように誘導しましょう。
(2)ご家族様の食事の時など、犬が食卓の下にいる習慣があると、こぼれたものを犬が食べてしまうことも起こりえます。お家の中では拾って食べても良いのに、外ではいけないというのは、犬には通じません。こぼれたものを食べない環境作りのためにも、ご家族の食事中は飼い主様の食卓と離れた場所で過ごさせるようにすると良いでしょう。

3. 犬に伝わる叱り方
拾い食いは犬にとって自然な行動であるため、注意しても怒られている意味が犬には分からないことがあります。叱るつもりで犬に声を掛けることがかえって「飼い主さんが構ってくれている」と勘違いをさせることとなり拾い食いを助長させてしまっているのかもしれません。しっかりと「いけない」ということを伝わるように落ち着いて叱りましょう。

 

 

口の中のものを出すと良い事があるよ!

 

 

お家の中には犬が口にしてはいけないものがたくさんあります。
またお散歩の途中の拾い食いで口に入れてしまったときなど、犬の口にしてしまったものを「出せ」と指示する状況は多いものです。
しかしながら、犬は口の中のものを無理やり出そうと飼い主さんがすればするほど、むきになって飲み込もうとしてしまうものです。日頃から「お口の中のものを出すと良いことがあるんだ」という経験をさせておく必要があります。また、「出せ」という指示語が、「お口の中のものを出すこと」であることを教えてあげましょう。

 

 

練習方法

 

 

噛むおもちゃなど遊んでいる最中に、飼い主さんは「出せ」などという言葉とともに、口に入っている物を出させます。(ご家族で指示する言葉を必ず統一してください)

初めてその言葉を耳にする犬は出すはずもありませんが、もっと魅力的なおもちゃで犬の気を引くなどして、口からおもちゃを出させます。

口からおもちゃが出る瞬間に、「出せ」という号令を再度かけ、おもちゃが口から離れた瞬間に、たっぷりとほめてください。
ほめた後、飼い主さんの手にある魅力的なおもちゃを噛ませてあげ、一緒に遊びます。
主導権が飼い主さんにあることをきちんと犬に伝えるためにも、飼い主さんのペースでスタートをして、飼い主さんのペースで終了です。


練習を繰り返すことで、日頃から「お口の中のものを出すと良いことがある」ということや、「出せ」という指示語と「口の中のものを出すこと」との関連性を教えることができます。またこの練習を通して、口の中のものに対する執着心を軽減していきましょう。

 

 

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