水腎症(すいじんしょう) <猫>

概要

Overview

腎臓本来の機能を営む組織である実質でつくられた尿は、腎盂(じんう)と呼ばれる部分に集められます。その後、尿管を通って膀胱に貯留され、尿道を通って体外に排泄されます。この尿の流れが何らかの原因で滞り、腎盂に尿がたまって拡張した状態を水腎症といいます。進行すると腎臓の実質の部分が委縮し、腎臓の機能が低下します。

※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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水腎症の診療フローチャート

原因

水腎症には、先天性のものと後天性のものがあります。先天性の水腎症は、腎臓や尿管の奇形などによって起こります。後天性の水腎症で最も一般的な原因は尿路の閉塞であり、結石や腫瘍などによる腎臓や尿管の閉塞に続発したものが多くみられます。
その他、尿管を閉塞させるような腫瘤性の病変や外傷、尿管の手術後の合併症、子宮卵巣摘出術の際の不慮の尿管結紮(けっさつ)※ などによって発生することもあります。尿管が完全に閉塞しなくても、7~8割程度の不完全閉塞でも発生することがあるといわれています。通常は片側性ですが、尿管より下部の前立腺や膀胱、尿道の疾患に起因する尿路閉塞に続発する場合には、両側性にみられることもあります。
※糸状の組織や血管を糸などで縛る処置のことを結紮といいます。

症状

症状は閉塞の原因によって異なります。血尿、腹部や腰部の疼痛、食欲不振、発熱などがみられますが、特に症状を示さないこともあります。両側性であったり罹患していない側の腎臓の機能が低下していたりする場合には、腎不全の症状(多飲多尿、食欲不振、嘔吐、削痩※、脱水など)が見られることがあります。
※痩せてしまった状態を削痩(さくそう)といいます。

治療

どのような治療を行うかは、原因となっている疾患や腎不全を起こしているかどうかによって決定します。結石や腫瘤の摘出など、尿路の閉塞を取り除くための外科的な処置が必要となる場合もあります。早期に閉塞が解除できれば、腎臓の機能は回復することができ、予後は良好だといわれています。片側性の水腎症で、腎臓に重度の感染や腫瘍があったり、腎臓が巨大化して他の臓器を圧迫していたりする場合などは、腎摘出を検討します。腎不全の症状がある場合には、その治療を行います。

予防

定期的な健康診断(尿検査や腹部レントゲン検査、超音波検査など)を行って、尿路閉塞の原因となる疾患を早期発見、早期治療することが重要です。一般的に、尿管の閉塞が起こってから腎臓に回復不能な障害が起こるまでは2~6週間だといわれています。片側の尿管閉塞や不完全閉塞の場合には無症状、あるいは軽い症状で経過することも多いので、腎結石や尿管結石などがある犬は特に注意が必要です。また、尿路が完全閉塞を起こすと、数時間~数日という短期間のうちに急激に腎臓の機能が低下することもありますので、血尿や腹痛など気になる症状が見られたら、なるべく早く受診し、治療を受けるようにしましょう。

病気のデータ

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