緑内障 <猫>

概要

Overview

眼球の中は房水(眼房水)と呼ばれる透明な液体で満たされ、眼圧(眼球内の圧力)を一定に保つことで形状を保っています。緑内障は何らかの原因によってこの房水の流れが阻害され、眼圧が高くなってしまうために様々な症状を引き起こす病気です。

緑内障のフローチャート

 

隅角が詰まって房水が前眼房に貯まる

 

 

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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原因

房水は毛様体で作られた後、前眼房に流れ、隅角と呼ばれる部分から排出することで、眼球内の房水の量を一定に保っています。しかしながら、遺伝的な形態異常や外傷、腫瘍、水晶体の変位などの眼の疾患によって房水の流出路に異常が出た場合には、房水の流出が減少し、眼球内に過剰な房水が貯留してしまうために眼圧が上昇します。猫の場合、遺伝的に起こる「先天性緑内障」や眼球に異常が無く原因も不明な「原発性緑内障」の発症はまれで、他の眼の病気が引き金となって起こる「続発性緑内障」が多いとされています。この原因には、猫伝染性腹膜炎(FIP)や猫白血病ウィルス(FeLV)感染症、トキソプラズマ症があります。

症状

上強膜(白眼)の充血、瞳孔の散大、角膜の白濁(角膜浮腫)などの症状があります。瞳孔の散大とは猫本来明るいところでは細く閉じている瞳孔が、大きく開いたままになってしまう症状です。
また、視覚障害により柱や壁などによくぶつかるようになったり、段差につまずいたり、階段の昇り降りを嫌がるようになったりします。また、目の痛みによって目をしょぼしょぼさせたり(羞明)、眼を細める、閉じたままとなる、涙が多くなるなどの症状がみられることもあります。また、痛みが強い場合には、食欲や元気がなくなり、頭を触られるのを嫌がる様子がみられる場合もあります。さらに進行すると、眼球が腫大し、水晶体の脱臼や眼内出血などを起こして、視力の低下や失明に至ることがあります。

治療

内科的治療法および外科的治療法がありますが、猫の状態や症状の程度、飼い主の意向などによって治療方法は異なります。内科的治療は、眼圧を下げるために内用薬や点眼薬、点滴による眼圧降下剤の投与などが主な治療方法となります。また、内科的治療だけでは進行を抑えられない場合は外科的治療となり、レーザー手術などを用いて眼圧を下げる手術を行います。また、視力の回復が認められない場合は眼球摘出術や義眼挿入などの手術を行うことがあります。緑内障の手術については手技が難しく、専用の器具や設備などが必要となることが多いので、かかりつけの動物病院によくご相談ください。また、術後に猫が眼をこすらないようにエリザベスカラーをつけたり、自宅で点眼薬の投与などをするケアも必要となります。

予防

緑内障を予防することは困難です。しかし、緑内障の初期症状の段階では失明に至ることなく治療ができる場合があります。ご自宅での早期発見が重要となりますので、猫の眼の大きさ、視覚障害による行動異常、その他眼の異常などのチェックをこまめに行ないましょう。眼の異常や痛み、視覚障害に伴う行動異常がみられる場合は、早めに動物病院にご通院ください。

病気のデータ

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